冬に舞う蚊 公演情報 JACROW「冬に舞う蚊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    追いつめられて
    流石にキャストらの演技力が光る。JACROWはキャストの起用力が定評になっていると思うが、毎回の公演ごとに満足し満たされているのは事実だ。今回は建設会社の談合をめぐって一人の人間が破壊されていく過程を描く。

    ネタバレBOX

    主役は富島哲平。彼を演じた立浪仲一の演技力があったからこその演劇の醍醐味を感じる。哲平は正義感溢れる真っ直ぐな若者だった。千葉大を卒業し建設会社の営業に回される。どうやら彼は挫折を味わったことがなく、とんとん拍子に社会に飛び出した一人のようだった。人生の難問の結婚にも成功し妻との関係も良好のはずだった。

    配属された営業部は公共事業の入札で仕事を取るような部門だったが、こういった建設業には当たり前のように蔓延る談合や汚職を目のあたりにした哲平は愕然とする。持って生まれた正義感を振りかざし、また、国立出身というサラブレッド感が同僚や上司の妬みを買い孤立していく。

    そのうち「正義感だけでは世の中は渡れない。自分の気持ちに蓋をして生きるより仕方がない。」と意見する上司を尻目に哲平は「談合反対!」を押し出し入札の書類を市役所に提出しないという荒業をしてしまう。

    この入札に参加しなかったことで、下請けの坂本工務店は潰れ哲平が想像だにしなかった事態が翌日から始る。執拗にパワハラを繰り返される哲平。妻に相談するも、妻は実家の事で頭が一杯で哲平を見ていないのであった。

    更に事態は悪化し、妻の実家の資金繰りで会社を退職する訳にいかなくなった哲平を、会社は脅迫するかのように退職を迫る。哲平は徐々に、しかし確実に追いつめられて窮するどぶ鼠のようだった。逃げ道を見失った人間ほど弱いものはない。哲平は正気を失い冬に舞う蚊のように、その宿命は潰されたのだった。

    死んだ哲平を巡って妻が告訴する場面も、請け負った弁護士が志賀を問い詰める場面も案外、滑稽だった。人は皆大切な誰かが死んでから騒ぐ。どうして生きてるうちに大事にしてやれなかったのかと思う。更に告訴された会社が証拠隠滅に画策する様子は現代社会の構図のような気がして、その描写は見事だった。更にパワハラを裁判まで持っていっても中々勝てない。というのも事実だし、よく勉強してるな、とも思う。

    観て満足する舞台だと思う。相変わらず谷仲が終盤に登場するオチが絶妙。

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    2011/01/08 12:29

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  • JACROW制作部>
    コメントサンクス。
    いあいあ、こちらこそ毎回、素敵な芝居を見せて頂きまして感謝しております。
    はい。これからも末永く拝観し続けます。笑

    差し入れの件、極少でお恥ずかしい限りです。
    もう少しサイフの経済が豊かになりましたら頑張らせて頂きます。m(__)m


    2011/01/18 00:55

    コメントありがとうございました。
    いつもいつも温かいコメントにメンバー一同、深く感謝しております。
    これからも私たちにしかできない作品を発表し続けます。
    よろしければまた足をお運びいただけたら幸甚です。
    今後ともよろしくお願いいたします。

    追伸)
    まさか差し入れをいただけるなんて夢にも思わず、感涙いたしました。
    お礼が遅くなり申し訳ございません。心から厚く御礼申し上げます。

    2011/01/17 15:55

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