満足度★★★★
出来すぎた「作り話」
それぞれの事情により、お互いに会うこともなく別々に生きてきた異父兄弟たちの「邂逅」により、母の数奇な人生が浮き彫りにされていく・・・。
俳優たちが巧く、優れた演出によりそれなりに楽しめる公演だった。4度目の上演ということはそれだけ観客に支持されてきた秀作といえよう。
ただ、私は最後まで作品の「作為性」が鼻につき、途中から興ざめしてしまった。お芝居は所詮虚構と言ってしまえばそれまでだが、虚構だということを忘れて観ていられるから芝居は楽しいのであって、本作は兄弟の母親である「小泉とわ」という女性の男性遍歴があまりにも都合よく出来た作り話に感じ、最後には「そのウソホント?」と言いたくなる。まぁ、事実は小説より奇なり・・・とも言うが。
それぞれのエピソードに笑いやホロリとさせるものがあるのだが、筋立てが作為的で「仕掛けを作る」作者の意図がちらつくのがどうにも私の好みではない。「大人の御伽噺」と割り切れなかった。
「小泉とわ」という女が自分の中で生きて血肉のある人物として息づいてくれず、兄弟の会話のキャッチボールはとても面白いのだが、作者の頭の中で作った女にしか感じられなかった。
同様に私生児を生み、戦後、数奇な人生をたどる女を他人によって語らせる「悪女について」という有吉佐和子の傑作小説が舞台化もされたが、あの虚構の強度とどうしても比べてしまう自分がいた。
また、再演物の宿命だが、先回りして笑う客が何人かいたのも興をそいだ。
ただ、あくまで私の好みと満足度の問題で、このお芝居を好きだと言う人の気持ちはよくわかるのでお薦めマークをつけました。
※☆3.5というのが正直な感想ですが、2晩考え抜いた末、これを☆3にしたら、他の芝居との評価バランスがとれなくなると考え直し、☆4に改めさせていただきます。
2010/12/19 14:57
2010/12/19 10:32
2010/12/18 11:07
2010/12/18 09:12
2010/12/17 22:35
2010/12/15 22:15
2010/12/15 21:59
5年周期の考え方に関しては、もっと言いたいこともあるのですが、これ以上、二人でやり取りしても、どなたにも興味がないことと思い、これで閑話休題と致します。
自分のコメントに頂いた御質問への返答は、自分のコメント欄に書きましたので、お時間のある時にでも、お読み頂けたらと思います。