満足度★★★
声の力
学校の講堂(フランク・ロイド・ライト設計の丁寧な作りの名建築です)で5人の役者が日本国憲法の文章を喋り、観客はそれを自由に動き回って聞くという、実験的な作品でした。
ジョン・ケージのハプニング作品みたいに別々の場所でお互いに無関係な出来事が生じていて、観る人によって全く異なる経験をする、開かれた作品だったと思います。1時間弱かけて静(沈黙)から動(歌、手拍子)へ推移して行く様子が日常的な時間感覚と全く違っていて、不思議な感じでした。もっと長い時間体験してみたかったです(上演時間は1時間弱でした)。
説明にある「日本国憲法と自殺問題を観客自身が当事者として体験する試み」という風には感じませんでしたが、ささやき声にも満たない声から、朗々とした歌声まで、言葉ではなく、声そのものの存在感を強く感じさせてくれました。
いわゆる「演劇」とは全く異なる作品ですが、音楽的を聴くように鑑賞すると楽しめると思います。
『自殺対策基本法』も観に行こうと思います。