【終了!】B4 paper books【ご来場ありがとうございました!】 公演情報 劇団パラノワール(旧Voyantroupe)「【終了!】B4 paper books【ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「黒の章」男性には前席がお勧め
    まず海賊ハイジャックの初のオムニバスということなので、こちらも相当に気合を入れて「アンドレ・ブルトン」の人となりを熟読し、代表作である「ナジャ」も読んだ。で、あくまでもワタクシの想像ですが、海賊ハイジャックのベースは「アンドレ・ブルトン」と「フロイド」なのだな・・、と感じた次第だ。

    毎回の公演に夢や狂気に焦点を当てた海賊ハイジャックはまさにブルトンで、当然のようにフロイドにも接近していく。
    同時に自由な精神を希求したブルトンを描写する海賊ハイジャックは一般の観客から観ると偏狭さが前面に押し出されてしまうため、理屈抜きで好き嫌いが割れる舞台なのかもしれない。そう、観客の好みも白黒はっきり分かれてしまうように・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ハイジャックの舞台に良く登場するセリフ=意外な言葉と言葉がありえない場で出会うことにより詩が立ち現れるというシュルレアリスムの表現は、なんだか理解出来ない場合もあるが、『ナジャ』を読むと、脚本を書く宇野の頭脳も少しは解る気がする。笑

    これは不思議に満ちた作品で、ミステリアスな世界観だ。理論的には『シュルレアリスム宣言』が読むに値するが、文章はかなり癖があるし、内容も難解だ。そしてブルトンのお気に入りの作家にマルキ・ド・サド(サド・マゾのサドで有名な作家)がいるが、同じようにハイジャックの舞台はサディズムをベースにしている作品が多い。

    極めつけは、ブルトンのお気に入りにアルトナン・アルトーがいて、この人は精神に異常をきたして、精神病院に入院しながら詩や戯作を書いていた人物だが『器官なき身体』というフランスの哲学に大きな影響を及ぼした言葉もアルトーの言葉だ。

    ここまで調べるとなんとなく海賊ハイジャックの世界観が見えてくる。すると、第一話の、少女の生き血を浴びることが究極の美だと信じて疑わなかったバートリの狂気や、第二話の殺人鬼アンドレイの獣奇的な狂気、第三話の軍人として殺戮を繰り返してきた殺人鬼の終わることのない狂気と末路。

    これらの短編は観ているとおぞましいが、独特な演出で美しい絵画のようにも観えてしまう、第一話の赤い血糊をイメージした4人の少女の身体。観ようによっては裸体が想像できるし、また裸に近い赤い布をまとった演出はエロいが艶めかしくて美しいのだ。個人的には痣と傷のある少女らの身体を想像したが、ハイジャックの演出は美しい描写に留まった。

    どの短編も破壊力はある。主人公の狂気を描写した作品だからだ。けれど必ず人間の弱さ、脆さ、優しさも分析し悲劇へと誘う。そこにロマンを感じるのだ。好みはあると思うがワタクシは好きだ。
    次は「白の章」を観る。

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    2010/11/05 03:29

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