起て、飢えたる者よ 公演情報 劇団チョコレートケーキ「起て、飢えたる者よ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    革命ごっこ
    1970年代初頭、革命と言う名のもと、闘い続けた若者たちがいた。彼らは左派同盟と赤色革命軍共同部隊として統一し『連合戦線』と名称を改める。

    その残党5人が軽井沢の別荘を占拠したてこもった10日間の出来事を追う。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    当初、理想的な新しい世界を求めて戦っていたはずの彼らはいつのまにか、警察及び警察官を権力そのものとみなして、襲撃し集団で凶暴化していったのだった。その中で彼等は、反革命とみなした同志を自己批判させ、総括(反省)させ、総括が足りないものには総括援助というリンチを決行し、死に至らしめて同志を少しずつ失っていったのだった。

    やがてその残党5人(坂上、坂内、吉田、江藤兄弟)は軽井沢の別荘に管理人・西牟田康子を人質にたてこもり革命しようとした。しかし、もうこの頃には行き場を失った彼らは仲間割れによって次々と同志の総括援助を繰り返し自ら破滅するしかなかったさまを描く。

    ここでの注目はなんといっても管理人の西牟田の存在だ。序盤、連合戦線に占領され怯えきっていた彼女はオルグと呼ばれる洗脳に少しずつ染まっていく。最終的に、逃走しようとした坂内に自己批判を要求し説教する場面の西牟田はまるでかつての指導者で主犯格の永山がのり移ったように見えた。それからというもの彼らは西牟田を永山と呼び総帥のように奉る。西牟田には革命家をその気にさせる才能に長けていたのだった。

    そんななか、西牟田を中心に彼らは一体感、連帯感の醸成に効果を発揮し革命家として高揚させ感激させ情動的にさせて、その場の誰もが西牟田の指示や命令に反射するように従うようになってしまう。隔離された環境のなか、気分を共有することで意思は完璧に出来上がってしまう事例だ。

    一方で坂内を総括援助によって殺してしまった彼らのなかには、かつての学習や討論や訓練や仲間を見殺しにしてきた経緯に疑問を抱くものが出てくる。しかし一度闘争に動き出してしまった集団は引くにひけない集団心理をも描写する。

    仲間内で疑心暗鬼になる中、自分を優位にしようと画策する者も現われるがリーダーの坂上は今までの全てを自己批判し総括しようと江藤兄弟を逃がす決意をし、逃がす。しかし、既に洗脳されてしまった西牟田康子はそんな坂上を反革命と罵り、射殺してしまう。権力と戦う前に総括で仲間を殺してしまい、たった一人になった西牟田は一人の革命戦士となって警官に戦いを挑むのだった。

    革命と言う名の大義名分によって人生を翻弄された一人の女の物語といっても過言ではないと思う。革命の先にある幻影を康子はただのまやかしとは思っていなかったろうし、何かを信じていた筈だ。今まで男に頼って生きて来た康子の最後の自らの意思による足掻きは革命戦死だった。

    キャストらの演技力を思い知らされ満足した公演だった。最近の「劇団チョコレートケーキ」の実力は群を抜いてるような気がする。頂点を極めると不安になるらしいが、前作をも上回る出来だと個人的に思う。

    緊張しっぱなしの観劇だったが観終わった後の満足感はやはり☆5つだと思う。仄暗い照明も絶大なる効果を現したと思う

    4

    2010/10/28 18:09

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  • ゆーすけ>
    コメントサンクス。

    多面舞台は演出上難しいかもしれませんね。しかし、個人的にはやはり中央、真ん中が一番観やすい位置だったように思います。
    ワタクシのコメントは決してほめすぎだとは思っておりません。
    数を観てればその分、酷評も多くなりますが、割に正直に書いております。
    劇団との癒着もないし。笑
    こうした理由から最近の貴劇団を買っております。

    次回も拝見させて頂きますね。

    2010/10/31 11:50

    実は、多面舞台は僕の中では始めての演出で、色々難しいところもあったのです。
    役者は皆魅力的なので、どこを見ても成立するようにシーンを作りました。

    みささんのコメントはほめすぎだと思いますが、今後も楽しんでいただける作品を作っていきますので、応援よろしくお願いいたします。

    2010/10/31 03:30

    ゆーすけ>
    今回も素晴らしい舞台でした。役者の立ち居地によっては見えない部分もありましたが、それを差し引いても完璧で重厚な舞台に観惚れました。

    次回も期待していますので、頑張ってくださいね。
    応援していますよ。

    2010/10/30 12:00

    いつもコメント有難うございます。
    また違ったテイストの舞台。楽しんでいただけたのなら嬉しいです。

    閉鎖的な空間を敢えて作って、お客様にも力を借りて緊張感ある劇場空間を作れたこと、嬉しく思います。
    ご来場有難うございました。

    2010/10/30 02:35

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