寿歌 公演情報 いいいのいー「寿歌」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    平均年齢73歳の三人芝居。ヴィジュアルから元ネタは大友克洋&矢作俊彦の『気分はもう戦争』だと思ったがこっちが先。1979年発表。核戦争後の崩壊した世界をリヤカーで突っ走る老いぼれた『イージー・ライダー』。ひらめく九重五郎吉一座の幟、要は流しのチンドン屋。
    寿歌(ほぎうた)=祝いの歌。
    「はいな。」

    イオナの化粧品、横顔のバーバラを起用し「イオナ。わたしは美しい。」のCMは1977年誕生。48年後の今日もそのネタを強要。訳が分からないが笑うしかないだろう。

    伊東由美子さんはいい女だな。老人ホームのマドンナみたい。井村昴氏はカッコイイ。山田康雄やクリント・イーストウッドの美学。猪股俊明氏は奇跡を起こせるのだが大して使い道もない。

    オリジナルを知らないので自分的にはこの老人の愉快な旅こそが原像となる。今平とかホドロフスキー、フェリーニ風に映像化して欲しい。寺山修司調にアレンジしてアングラ地獄巡りの道中なんかもあり得る。
    観に行って正解。面白かった。

    ネタバレBOX

    パキスタンで発掘されたインダス文明の都市遺跡、モヘンジョダロ(死者の丘)。BC25世紀頃の都市。
    天児(あまがつ)=幼児の側に置き災厄の身代わりを負わせる人形。

    井村昴氏78歳、伊東由美子さん65歳、猪股俊明氏76歳。
    ゲサク=戯作。キョウコ=狂言。ヤスオ=耶蘇。
    AIがミサイルの雨を降らせ続け人類は瓦礫の山に潜んで今日一日を生き延びるだけ。キリストはもう地上で為すことがなくエルサレムへ死にに行く。蛍がやたら綺麗。沢山の蛍が子宮に入って懐胎か。干芋とロザリオ。命なんて大した価値はない。何も出来やしない。だが愛おしい。
    核戦争で人類は滅び、その日氷河期が訪れる。どこまでも降りしきる雪、桟敷童子だ。

    作家の分裂した自己による自問自答。この憂鬱な現実の中、どんな嘘話を騙れるのか?『道』のザンパノは夜の海岸で咽び泣いた。ゲサクとキョウコは絶望的な状況、核の雪が降りしきる荒れ野で「綺麗だ」とはしゃぐ。

    0

    2025/04/13 10:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大