実演鑑賞
満足度★★★★★
詩、ひとつ書いたことがない素人が何だという事だけど、作り物の言葉は声に出されて耳を通るイメージがないと作り物のまま、なんだか違和感がある、生まれる。と思う。
はて、ムシラセは何を観ても好きだなぁと思う一つの理由はそこじゃないかと。
今作『なんかの味』。親子と、親子じゃないけど距離感バグってる人々の会話劇。そこに社会人御用達の回りくどい敬語なんてものはなく、反射レベルで思った通りの言葉をはく。なんなら家族でももう少し選ぶなぁと思うところがあるくらい素直に口から言葉が出てた。漏れてた。「Fおさえてみ?」。
ムシラセの言葉は作り物かもしれないが作り物のままでは無いのだ。生気が宿って、脚本から、演者さん達の声から有機物に変換された言葉が客席に届いてくる。そうすると親子の微妙な距離感とかバグったおばちゃんとバイトとのやりとりとかそんなんがちゃんと届いて観ながら自分の人生に反芻されて物語が心に残って豊かになって。
友達になりたいかはまだ分からないが、舞台の一部始終の外にいる登場人物達を街角で見かけて、楽しそうにしてるかしら?と気に留めたい。
お話しのままじゃおさまらない大好きが増える95分でした。