或る、かぎり 公演情報 HIGHcolors「或る、かぎり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    なかなか重たい話、そして壮絶な演技だった
    引きこもりの長男、余命幾ばくかの母、無力感を漂わせながら見守る父
    小劇場演劇を観ていない若い友人をを連れて行ったので、臨場感を味わってもらおうと最前列に座ったため、演者の表情も良く見え、迫力があった
    セットはダイニングキッチンのセットなどがでんと置かれているのだが、全てのリアリティが追及されている
    それぞれの場所のライティングの切り替えによる舞台転換も小気味よい
    音楽も要所要所で使われるクラシックが効果的
    キャスト皆好演、表情が素晴らしく、役作りがしっかりしている
    気持ちの昂り、表に出せないもどかしさなど良く表現されていた

    ネタバレBOX

    下手にダイニングキッチンのセット、奥にベッド(お母さんの病院&引きこもり長男の部屋)、中央にリビングのソファ、上手に事務所のデスクと応接というセット(1階がお父さんが社長の会社の事務所になっている家らしい)
    まあ現物そのものがでんと置かれているのだが、驚くべきはキッチンがすべて機能していること
    舞台上では稀な、水道の蛇口をひねると水が出てくる‼️
    冷蔵庫も動いているようだ
    ずっと無表情に見えるお父さん有薗芳記も哀愁とか困惑とか持って行きようのない怒りが込められて、最後の爆発が生きて来ていた
    長男のどーしよーもなさ、そして暴発も見事
    兄弟の微妙な心理の揺れも良く表現されていたし、ちゃらんぽらん従業員佳乃香澄やレンタル彼女土本橙子は独特の雰囲気を醸し出していた
    昨秋の「スープラに乗って」で気に入った福田ユミはやっぱりここでもさすがの演技だった
    宮地大介は確かにこういう人いそうと自然に思える役作りだった
    同行者が小林さやかの演技に感心していたが、ベテランの味で空気を作っていた
    最後にお父さんが自分の頭で次々と生玉子を割って行くシーンとその前後の長男の様子が圧巻
    長男がお父さんが淹れたコーヒーの味で気付く家族の絆
    喪服に流れる玉子、その上着とネクタイを取って着て、ようやくお母さんの葬儀に行こうとする長男・・・
    友人が「あれ、あと大変ですよね」「そうね、ただ今のはソワレだから時間あるけどね、マチソワだとその間の限られた時間での修復大変だよ」
    難点は家族を取り巻く人間の関係が最後まで良く分からないところがあった(小林さやかの位置づけとか、福田ユミの異常なまでのおせっかいとか)ことと、宮地大介と福田ユミの過去の不倫話が無理やり持ってきて不要に思えたことあたりか
    それと配役表ないのは不親切だった(登場人物の名前も良く分からない)
    台本買って来たから役名分かったが
    帰ってカミさんに話したら「玉子高いのにもったいない」だったが、そういう反応もあるだろうな
    今日の印象的な台詞
    「言わないのが家族」
    「言うのが知性、言わないのが品性」

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    2025/04/05 09:05

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