なんかの味 公演情報 ムシラセ「なんかの味」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    観終わって思った。
    題名、絶妙。
    人間関係。その中でどうしても一番身近な「家族」というもの。
    なんかだるくて、なんかよくて、なんか遠ざけたくて、なんか大事で。形が一つに定まらない。分かりやすい定型があれば、取る態度も一つに決められるけど、そうじゃない。
    苦々しさとかほろ甘さとか、懐かしさとか青さとか、何味とも言い難い何かとか。
    たくさんの味がする。観ながらどんどん変化する、「なんかの味」がたくさんする。

    ネタバレBOX

    客席でなんだかもぞもぞと居心地が悪くなるのは、この親子の会話と空気に覚えがあるから。話の通じなさとか、お互いの勝手さとか、勝手さと背中合わせの思いやりとか。
    言葉を投げつけ合って、諦めで情を引き剥がそうとして、ちぐはぐでバラバラで、このバーでのいっときの邂逅はまとまることなどなくまた散り散りになっていくように見えた四人なのに、そこから新たに編まれていくものがある。
    噛み合わずに飛び交う言葉が、いつしか、ひとつのところに向かう。理屈とか利害じゃなくて、脊髄反射みたいに反論して、怒って、味方になってくれたりする。気づいたら、そこで生まれているリアクション一つ一つに打たれて、胸がいっぱいになっていた。
    相槌ひとつの空気感、声の温度とかやわらかさ、を肌で感じて噛みしめられるのは、生の舞台ならではのもの。
    あまりにも四人四様に役者陣が魅力的で、表情もリアクションもすべて取りこぼしたくなくて目が足りない。

    観ながら家族ってめんどくさいな、って思うのに、こういう本気で相手を思って感情も言動も振り切れる関係ってすごいな、って思ってしまう。「家族」という名前であってもなくても、括りがなんであっても、何かに向かう共同体ってどうしてこうも心強いんだろう。

    璃と迪子二人の場面で、璃が迪子の話に打つ相槌が、「うん」の二文字の繰り返しなのにあまりにも表情豊かで、あの相槌を聞くためだけにもう一度観たいほど、好きな場面だった。

    ココアとシチュー。どツボだった。
    薄まった味だけ知っていたことを損してたと判断したくはないから、ただただ「うまっ」と思える味に出会えたことを喜びたいな、そういうのがどんどん増えてほしいな、と迪子のリアクションを観ていた思った。

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    2025/04/03 00:51

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