実演鑑賞
満足度★
才人才に溺れたか。KAATは、東京の公立劇場と違って、創造者の勝手を許すところがあって、それはそれで成果もあり、失敗もありだったが、これは難しすぎる。
愛と正義が氾濫して始末に負えないのが現状ではないかという見立ては今面白いテーマではあるが、それを見せるのに、この手はないだろう、と思う。一つ、愛も正義も抽象的なもので、しも人間的だから五人の登場人物に仮託するのには無理がある。しかも、共に人間関係で発露されるものだから、舞台を見る方もすっきり解釈できないシーンが多い。。出来なくてもよいように作っていることは窺えるが、それは観客には課題が大きすぎる。この形で出来るテーマはせいぜい「ディグディグフレーミング」で試みたSNSまでだろう。
舞台は、進行を司る「ハナシ」に成ると、途端に渋滞する。歌舞伎だと、實は、となって前に進むが、これは渋滞のままで終わりになってしまう。結局何が何だか分からない。
部分的には、劇場お得意の移動カートを引き回す舞台装置や、ここは黒田の振付だな、と思うダンスのシーンなどもあるが、まとまりが良くない。2時間30分もある(繰り返しも多い)と、終バスに乗れない客も数多くあったろうと思う。