実演鑑賞
満足度★★★★
舞台の上がいつも整理されていて、とにかくサマになっているのは川村毅の舞台の特色で、それを素材やテーマに即してさまざまに見せてくれる。今回はテーマが多様化時代の異文化との遭遇である。日頃日本からは遠いインド文明との遭遇を、演劇とダンス{舞踊}を使って解きほぐす。解かれるのは「西欧や日本ともまた違う何でもあり」の「多様性の豊かな異文化・インド」である。テーマとしては面白いが、インドを説くのはちょっとやってみました、と言うのでは歯が立たない。かつて日本人でインド文化に取り組んださまざまの文化人がいて、伝記も残っているが、みな、辛うじて一端をかじりましたという程度に終わっている{ように感じる}。これぞという交流も仏教ぐらいか。日本の対極にあってエネルギーの量が違う。
この舞台も、大きくホリゾントに張った、スクリーンにガンジス川のステールが映し出され、それが主人公{マーヤ・酒井美来}の父が残した写真の作品で、そこからマーヤの異文化探索の旅が始まり、様々なインド舞踊が{主に群舞}が繰り広げられる。写真の選択も並べ方も、群舞への入りも振付
{中村蓉}もきれいにきまっていき、見ている間は気持よく珍しいインド文化をみてしまうが、さて、多様化時代の文化接触や交流がこれで進んでいくのか、何か成果がありそうだ、とは見えなかった。奥が深そうに見える、やっぱりインドは対極だな、と感じた。1時間半。