実演鑑賞
満足度★★★★★
実力派の男性俳優陣をメインに、骨太なストーリーを力強く演じる社会派劇団というイメージのJACROWの女性だけの舞台は、華やかさの中にしっかりと棘のある風刺を効かせた物語だった。
夫を「主人」と、妻を「家内」と言い、夫を陰から支えるのが妻の役目、夫あってこその妻、夫の成功こそ妻の最大の幸せという「政治家の妻」たち。
表で戦う「政治家」の夫たちの影で、夫を当選させるために動く妻たちの表と裏の顔が「あー、まさに『女の世界』だなあ」と、自分の過去を振り返り(もちろん夫は政治家ではないが)、ニヤニヤしたり苦笑いしたりしながら観た。
それにしても、「政治家の妻」たちの何とパワフルで美しいことか。静かに、時に激しく繰り広げられるガチンコトークバトル。みなさん大熱演である。素晴らしかった。
夫を当選させたい!という願いと、社会情勢、週刊誌やSNS、妻同士の関係などが渦巻く中で、熱に浮かされるように踊り、踊らされた妻たち。それでもこの先を進む彼女たちの道は明るくあってほしいと思いながら劇場を後にした。
終わってみれば、やわらかなオーガンジーの白い布で覆われたように見せかけつつ、実にJAROWらしい骨太でパンチの効いたバリバリに社会派な舞台であった。
とても面白かった。