おどる葉牡丹 公演情報 JACROW「おどる葉牡丹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    古代の円形劇場のようなステージをL字型で囲む客席に座・高円寺1をレイアウト。滝行に臨む議員の“家内”達が真白な行衣姿に竹の遍路杖を頼りにゆっくりと岩肌を進む。何という寒さ。肌を刺す冷気。真冬だと言うのにこれから滝を浴びる⁉口ずさむのは般若心経。いつしか歌になる。

    仕事を辞めてきた旦那が突然来年の市議会議員選挙に出馬すると言い出す。は?全く理解不能。子供のない家庭、愛猫との日々。部長昇進が内定している妻。男社会でよくぞここまで耐え抜いた。それがいきなりの旦那の人生設計変更には付き合い切れない。正気?受かると思う?何がしたいの?
    狂った人生の展開に絶叫する主人公は福田真夕さん。

    地元の区の顔役である与党の県議会議員幹事長の妻(宮越麻里杏さん)を紹介して貰い話を伺うことに。区の現職の市議会議員の妻(堤千穂さん、廣川真菜美さん)。
    隣の区の顔役である県議会議員の妻(井口恭子さん)、隣の区の市議会議員の妻(駒塚由衣さん、井口睦惠さん、橘麦さん)。
    そしてその親睦会を束ねる地元の衆議院議員、法務副大臣の妻(みやなおこさん)。毎月集まって交友を深めている。

    出馬するならば地元商店街会長の花屋(井口恭子さん二役)が後援してくれると言う。

    皆の話を聴いていくうちに旦那の出馬に前向きになっていく主人公。裏方である女の戦いの面白さ。大学時代チアリーディング部で培った応援魂に火が点く。

    伊丹十三や滝田洋二郎系の社会派コメディー。男を一切登場させない作劇。
    裏金問題で逆風が吹き荒れる与党、女達の選挙運動はとどまる所を知らない。

    ネタバレBOX

    失敗作だと思う。作家は女性モノが向いていないのでは。無理してる感じが最後までした。男性ならグロテスクに誇張して笑えるキャラにカリカチュアライズ出来るネタなのだが、女性となると気を遣ってしまうのだろう。TRASHMASTERSでこのネタをやればとんでもない着地点にまで辿り着きそう。

    自民党の後ろ盾があってこそのド素人の立候補の決意。当初から何某かの関係性が見えないことには旦那の目算が不鮮明。ただの自分試し?男を出さないことに拘ったせいでリアリティーを犠牲にしてしまっている。

    女優の名前が出て来ず、堤千穂さんしか判らなかった。後半、みやなおこさんにやっと気付く。TRASHMASTERSの怪演ばかり観て来たので驚く。凄く常識のあるまともな役だった。終わってから宮越麻里杏さんが出演していたと知る。この人は毎回尻尾を掴ませない。

    選択的夫婦別姓制度まで踏み込むネタだったと思う。何でこれを導入すべきなのか、絶対にすべきではないのか、日本人の家族観の核を突く問題。男女観の根底を流れる無意識の川、ジェンダーロール、ジェンダーバイアスの正体。劇団印象なんかが得意そうなジャンル。

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    2025/02/07 11:24

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