実演鑑賞
満足度★★★
2020年にはコロナ禍のもとCATの制作で、10数組のリーディングの組合わせで上演された二人芝居である。2001年にはアメリカで9・11の時、便利優先で進むグローバリズムへの警鐘として初演された。原作はあまり知られていない米作家でテレビがメインのようだ。今までにで、見た作品では23年にハリウッドを舞台のバックステージ話を加藤健一事務所が公演している。ハリウッドライターはホントに鍛えられるらしくとにかく繋ぎ、つないで2時間二人だけで面白く持っていく腕はすごい、と言うしかないが、中身が深いかというと、やはり、よくできたエンタテイメントだなぁ、と言う印象だ。
現代社会が便利になって失ってしまったものは・・となれば、テーマもスジの終わりも見えているので後は本の技術を楽しむ、あるいは役者がどこまで出来るか、見るしかない。
主宰・演出・出演の田中正彦(刑事役)は今は声優としてベテラン、で相手役の佐々木望共に(書庫の移動を命じられて爆薬と共に図書館に籠城する司書)と殆ど2時間しゃべりっぱなし、籠城ものだから緊張が続くので役者も大変だ。こ三演目で7年ぶりというから、やっている方は一種の麻薬に溺れているのかも知れない。話はよく組まれているが、後半はこの話どう納めるか、と言うのが関心の軸になってしまう。そこも後で考えればそれしかないというあたりに持っていく。そういう万端出来ていて、俳優もガンバテイルのはご苦労様としか言いようがないところがアメリカの普通によく出来たのエンタティメントらしい、とはいえ、このクラスの本がゴロゴロ転がっているらしいのはスゴいことだ。いわずもながの注文で言えば、こういうシチュエーションの演技としては二人とも、声優だから仕方がないが、役を客観的に見ているところは見えすぎる。
作品のタイトルと、副題が飼い犬なのは解るがそれ以上にどういう意味を持たせたかったのかよくわからなかった。