期待度♪♪♪♪♪
西洋史上、悪逆非道の王としてその名が残るカリギュラは、若くして皇帝の座に就いた当初は国民のための治世を行ない、その治世を通じてローマ市民からは人気が高かったというが、現存する後代の史料ではいずれも狂気じみた独裁者であり残忍で浪費癖や性的倒錯の持ち主であったとされている。それは一体なぜなのか。
「異邦人」で有名なカミュのこの戯曲は以前栗山民也演出・菅田将暉主演で上演されたが、私は観ていない。今回、同じカミュの「正義の人びと」に繰り返し挑んできたオフィス再生の照準機関・髙木尋士が分かりやすい「カリギュラ」を創りたいと翻訳から始め、さらにワークショップとして俳優に読んでもらう中で訳したものを演劇的に直し、数年がかりでようやく一つの作品として形が見えてきたものだという。その取り組みを真摯に拝見したい。