実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
SF仕立てにした人間観察劇といったところ。物語は二重構造<宇宙船の内と外>、さらに云十年に及ぶ時間軸を時系列に描く。一見 複雑そうに思えたが、プロローグとエピローグのような描き方で違いを表す。内容的には、人間の喜怒哀楽や冠婚葬祭に準えたイベントを展開し、人の在り様を洞察する。そうせざるを得ない状況を作り出し、さらに そこから抜け出せない半ば強制的な環境を巧みに設定する。その柔軟な奇知が物語に深みと味わいをもたらしている。
シンプルな舞台装置、それゆえ役者陣の演技力が問われるところだが、しっかり感情表現をしていた。個々人のキャラクターを立ち上げ、ありがちな人間関係(家族内や隣人家など)を上手く描いていた。シリアスでありコメディなシーンといった硬軟ある観せ方は観客を飽きさせない。
地球人が、異星人から高度な科学(兵器)技術を背景に 理不尽な要求を迫られる。その高圧的な相手が異星人というところが肝、個人的には「アンネの日記」「幕末の黒船来航」そして「拉致」といった深刻な状況を連想した。究極の進路選択を迫られた時、人はどのような判断・対処をするのか。そして独りになった場合は…舞台という虚構(世界)の中で しっかり考えさせる。
(上演時間1時間25分 休憩なし)