バンバン学校裁判BANG! 公演情報 FREE(S)「バンバン学校裁判BANG!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    設定が上手い学園法廷コメディ。
    とあるド田舎の小中一貫校では生徒間が対立、それを学校裁判として児童・生徒自らに解決させる。校内の問題は学校全体、ひいては担任教諭や校長の責任を問うような広がりをみせる。勿論、学校法廷劇であるから被告と原告といった立場で議論するが、その内容が面白く しかも考えさせる。自分で考え 意見を言い合い、お互いの気持を理解していく。公演で描きたかったことが浮き彫りになる。
    表層的にはスラップスティック・コメディといった印象だが、その中での台詞(言葉)の遣り取りが面白可笑しい。真面目な裁判劇といった理屈で観たらツッコみどころ満載。

    ド田舎ゆえ生徒数は少なく、学年が違っても皆 顔見知り。そして学級委員長という優等生から素行が悪い者、少し精神が といった者まで個性豊かな生徒が集まっている。その生徒たちが提訴する内容が妙。少しネタバレするが、幽霊の存在を信じるか否か といった 悪魔の証明 のような言い争い。その和解までの議論が心に響く。そして学級委員長が提訴した或る問題が学校全体を巻き込んで…。
    (上演時間1時間40分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は学校の講堂のような場所、二段のうち 上段中央に椅子1つ。上手にいくつかの椅子が横並び。下段の上手 下手に椅子1つずつ。上段中央は裁判官席、下段の上手は被告席、下手は原告席というシンプルなもの。
    学校裁判を始めるにあたり、学級委員長が裁判官役として模擬裁判(練習)を始めるが思っていた以上に難しいと、そんな感懐を抱いたところから物語は始まる。

    まず、絵の盗作をされたという提訴。実際描いた絵を見せ合うが構図が全然違う。逆に原告へ絵が上手くなるための努力をしたのかと詰め寄る。次に飼育している豚が逃げたなど、少し推理する事件で楽しませる。
    個人的に好きな案件は、原告が最近まで亡くなった祖母の姿が見えていたのに、被告から幽霊なんかいないと言われてから、祖母が表れなくなったと。幽霊の存在の有無、いないことの科学的証明 まさに悪魔の証明のよう。一方 被告の父は既に亡いが、自分の前には表れない。どうして と逆に原告に迫る。亡き人は見守ってくれているが、もう大丈夫と思ったら表れないのだと。ちなみに弁護人が、被告にアメリカ人を見たことがあるかと質問。ド田舎ゆえ外国人はいない。見たことがない=存在しない とはいえない という論法も解り易い。

    学級委員長は小麦アレルギー、自分が食べられない分、他の生徒が食べているので相応の金額を返金してほしいと。これは原告1人に対し 他の生徒全員が被告になる。さらにアレルギーのことを知っていながら、この食材を使った給食を出している学校ー残さず食べろという担任教師や責任者である校長を訴える。この裁判に養護教諭が出廷しているところも上手い。提訴する問題に厚みを持たせると同時に、対立していた生徒同士が一つになり協力し合う姿がみえる。この案件、健康や予算といった根が深い問題を孕んでおり考えさせる。

    孕んでいるといえば、途中から産休中の教師が加わり 裁判官の合議制(合議審)になる。それまで裁判官が入れ代わり立ち代わり交代していた。それは自らの存在を知らしめる好機と言わんばかり。名前さえ覚えてもらえていない学校事務員にその役割を負わせている。その意味では登場させる人物も巧い。ラスト、ソーラン節を歌い踊る中で産気づいた妊婦が…。予定調和の大団円。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/01/19 00:16

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