実演鑑賞
満足度★★★★★
数年前に著名俳優を配して舞台化されたタイトルだけ耳にしていた「オレアナ」初日を観た。目撃した。一度観たら内容を忘れる事はないだろう芝居。ハラスメントを扱った92年初演の作品だがとりわけ日本では正に「今」の話である。本ユニットでは新訳を施して上演。翻訳家と演出家の意図が台詞の細部にまで行き渡り、人間感情の途轍もない不可解さを解明するに等しい繊細さで発語を立ち上げている。そのように私は踏んだのだが、それは男女の認識の誤差(それも教授と学生といったケーススタディのような関係での)が無意識の領域までを嫌疑の対象とし「支配が感知された」ことを根拠としてハラスメントが成立するような一件が、実際にどのようなやり取りによって生まれるのか、という難題をリアルに描出していたから。
一点脚本上「分かりやすい」帰結を織り込んでいる。