実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/26 (木) 14:00
座席1階
5月に亡くなった唐十郎が新宿梁山泊のために書き下ろした作品という。今回は、梁山泊による追悼公演。アングラの精神を継ぐ、という意欲を前面に打ち出した。
新宿梁山泊の本拠である小劇場満天星での公演だが、ここで大量の水が使えるとは思わなかった。ただ、さすがに花園神社でのテント公演とは違い派手な場面はなかったが、水しぶきが飛ぶ迫力のある舞台だった。
物語は、脚本家志望だったという唐十郎の実母のイメージで作られている。舞台は昭和5年。自由な表現行為が規制されつつある当時の暗い世相の中で、ズロースに台本を書き込んだりする場面は暗示的だ。また、バックのスクリーンを使って日中戦争とか戦時のモノクロ動画を織り込んでいるのはいい演出だと思う。梁山泊はこの演目を何度も上演しているのだが、やはり本拠地の満天星でやると雰囲気が違う。
若手俳優をメーンとして登場させている中で、大久保鷹のせりふ回しが異色の輝きを放っている。主人公の女性編集者を演じた森岡朋奈は見事な熱演だった。