実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。この旗揚げ公演は観応え十分。
増澤ノゾム氏の脚本・演出による記憶・追想を辿るような物語…人が持っている表し難い感情を上手く表した人間劇であり家族劇。登場人物は男女4人、それぞれの性格を繊細に 立場を丁寧に描き、今ある状況を巧みに描き出す。人が抱えた問題は、その時の生活状況や社会情勢によって影響を受ける。そして思わぬ行動に出てしまうこともある。その心情が痛いほど伝わる。そして 紡ネン を介して蟠りが少しずつ溶けていくような。
役者陣の演技が圧巻。何処にでもいそうな人物をさり気なく演じる、その自然体の演技が物語へ巧く誘う。冒頭から一瞬のうちに引き込まれる。登場人物が4人しかいないことから、それぞれの関係性が鮮明に そして濃密に描かれる。これによって 1人ひとりの人間性が浮き彫りになってくる。
物語は、行方不明だった父親が見つかり 兄弟のところに引き取られたところから始まる。兄弟が覚えている父は暴力的な人だったが、目前にいる男は 記憶の中の父とは別人の 天使のよう。そして兄の恋人も巻き込んで という設定が妙。
(上演時間1時間35分) 追記予定