ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010 公演情報 ZOKKY「ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    本能に響く。
    失禁蝶々『日本にトイレが無くなる日』&耳だけで感じるささやき演劇、KIKKYをつづけて体験。
    前者は人間にとって切実な生理現象を扱う話でその内容は私見ではタイトルがすべてと言っても過言でないようなものでしたので、あらすじを追うというよりも、吐息がかかるほどの至近距離から見つめる臨場感だったり、美し過ぎる岡田あがささんにクラクラしたり、濃密な空間を丁寧に描く構図(カット割り)にニヤニヤしたりしながら楽しく拝見しました。
    ちなみにKIKKYの方は、なんだかもう、新感覚のアトラクションって感じで、衝撃度&体感温度に関してはZOKKY超えました笑。
    ただこちらはかなりアダルティですので、女性の方はちょっとした勇気と覚悟が必要かもしれません。(もちろんエスプリの利いたギャグは健在ですが。)

    ネタバレBOX

    失禁蝶々『日本にトイレが無くなる日』

    空きのトイレを求めてさ迷う成人男性(鈴木浩司・時間堂)のもとへひゅるりあらわる華麗な女(岡田あがさ)。
    漆黒のドレスに身を包む高貴な女はしかしどこか魔女めいていて、片手にはシンデレラを殺した時に用いたような真っ赤なリンゴが握られている。

    女は、男の気を惹くために召使に天津甘栗を買いにいかせた話などを聞かせるが、男はそれどころではないらしく、ちっとも話を聞いてくれない。

    もうすぐ世界が終わるとしたら、命を乞うことよりも尿意から解放されることを願うような男と、不思議の国での暮らしが長いのか、人間の男の誘い方がよくわかっていないような女の相容れないふたりの欲望は、やがて時計の針のようにぴったり重なり、ふたりにしか理解しえない愛に溺れる・・・。

    誘われる男と誘う女以外の4人キャストたち――斉藤マッチュ(劇団銀石)、さいとう篤史、石黒淳士、浅見臣樹が覗き穴から前方後方部の階段を上がりきった右手にあるという設定のトイレの前で、いまにも『失禁』しそうなサラリーマン風男性といった様相で、ポーズを決めこんでいて、5分間ほぼそこから動かない(というか動けない)というのがとってもシュールで笑いを堪えるのに大変でした。

    今回は数日前に見た『ワイルドオタッキー』よりもいくぶん、慣れたせいもあって、アングルやフォーカスを自分のなかで微調整しつつ観ていましたのですが、観ればみるほど、精密なつくりで非常に幻惑させられました。
    特に、誘われる男の顔右半分が覗き穴を塞ぐ静止画から、女に声をかけられ目玉をギョロリと動かしスッと斜め後ろから女が立ち現れる時のタイミングと遠近感、男が女の方に振り向く速度と角度、ひとりごとのように自分のことを話まくる女の声をバックミュージックのようにして誘われる男の唇から鼻、目へとなめらかにパンをしていくあのエッジの利いたフェティシズムには、崇高なる美を感じました。
    また、ラストの方で誘う女が覗き人にウィンクをする瞬間などは、自分が男だったら即キュン死してました。笑

    それだけに、ストーリーにももう少しゾクゾクするような何かがあってほしいなぁ、という欲も生まれました。といいますのも、トイレに並ばなければならないという必然性のようなものが見えにくかったのです。
    ヘンな話、よっぽどの緊急事態であるならば、ひとはその辺で用を済ませることを視野に入れるのではないかしら、と。そうおもうと、その辺で用を足そうとすると魔女狩りされるとか、むしろ魔女に承諾を得ないと放尿できないというストレス社会だったり、そんな世の中すら謎の機械生命体によってもうすぐ終わってしまったりする方が空恐ろしいような。なんておもったりだったのでした。


    KIKKY――耳だけで感じるささやき演劇。

    ZOKKYの右隣の真っ暗な部屋。扉がひらくと白い椅子が一脚。
    そこに座り、肘掛に両腕を乗せ両手首を固定、更にアイマスクで視界を遮断される。ラジカセからチープな戦の音が流れた後、扉が開く。

    最初は遠くから聞こえてくる声が、だんだん近くなってきて。その声は耳からどんどん派生していき、全身に広がっていく。吐息のシャワーを浴びるといったらいいだろうか。

    複雑なことは何もないのですが、観客・キャスト双方が隠れている、もしくは騙しているのではないか、という予感も相まってエキサイティングでした。

    本能寺の変をモチーフにしていると思わしきプロットもエスプリが利いていてすてきです。ひょっとして観客の本能に響くことへの願いもこめられてたのでしょうか。

    一応念のため18禁推奨します。特に純情ボーイ君たちは。想像力の翼を広げすぎぬよう・・。笑

    篤姫だったりマリー・アントワネットを体験できる女性向きヴァージョンがあってもいいかもしれません。

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    2010/09/14 00:42

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