実演鑑賞
満足度★★★★
33年ぶりに「MODE」の舞台を鑑賞。ああ、こういうテイストだったのか。超現実で摩訶不思議な世界で、昨今なかなか出会えない作風が新鮮で刺激的だった。私などは舞台を観る時、内容に意味を求めてしまい、わからないと「難解だ」と投げ出してしまうのだが、今回は、素直にその世界に身を沈めてトリップ感を味わった方が気持ちいいし自由になれるような気がした。
またこの作品で特徴的なのは役者の身体が前面に出ている点だ。フェティシズム的な表現が多用されているし(観客の眼はどうしてもその部分をクローズアップして見るだろう)、登場人物の奇妙な動きや静止するシーンも多い。普段観る舞台ではこれほど役者の身体を意識していないと振り返って思う。どちらかというと台詞によって人物の関係性や物語の展開を把握することに腐心しているような気がする。圧倒的に聴覚が先行しているのだ。翻ってこの作品は圧倒的に視覚に訴えてくる。
当日パンフで主宰の松本氏が「劇的とは何か、ということばかり考えていた」と書かれている。一般的には「ドラマチック」ということだが、私は以前から「演劇でしかなしえない表現」という風に勝手に解釈している。その意味では今作は十分に劇的であったと思うのだがいかがだろうか。