さようなら、シュルツ先生 公演情報 さようなら、シュルツ先生」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    33年ぶりに「MODE」の舞台を鑑賞。ああ、こういうテイストだったのか。超現実で摩訶不思議な世界で、昨今なかなか出会えない作風が新鮮で刺激的だった。私などは舞台を観る時、内容に意味を求めてしまい、わからないと「難解だ」と投げ出してしまうのだが、今回は、素直にその世界に身を沈めてトリップ感を味わった方が気持ちいいし自由になれるような気がした。

    またこの作品で特徴的なのは役者の身体が前面に出ている点だ。フェティシズム的な表現が多用されているし(観客の眼はどうしてもその部分をクローズアップして見るだろう)、登場人物の奇妙な動きや静止するシーンも多い。普段観る舞台ではこれほど役者の身体を意識していないと振り返って思う。どちらかというと台詞によって人物の関係性や物語の展開を把握することに腐心しているような気がする。圧倒的に聴覚が先行しているのだ。翻ってこの作品は圧倒的に視覚に訴えてくる。
    当日パンフで主宰の松本氏が「劇的とは何か、ということばかり考えていた」と書かれている。一般的には「ドラマチック」ということだが、私は以前から「演劇でしかなしえない表現」という風に勝手に解釈している。その意味では今作は十分に劇的であったと思うのだがいかがだろうか。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    久しぶり!!松本修である。地方から戻ってきたと聞くが、全く昔日の輝きを失っていない。
    カフカの連作は確かに代表作だろうが、柳美里の本でやった「魚の祭」とか「プラトーノフ」とか記憶に残っている。スタイリッシュに耽美的にまとめられた舞台、個の俳優と全体の舞台が巧みに演出されている。カフカ連作では、KERAに先行して独自の世界を作り上げた。対談してお互いのリスペクトもあって切磋琢磨いい舞台を見せてくれた。ちょっと助平ったらしいところも両者似ていて好敵手だった。
    その松本修の帰郷第一作はカフカ系のポーランド作家の作品コラージュで、手法はカフカのときと同じである。まず小手調べというところかもしれないが、かつてのMODEの俳優も参加しているがほとんどが新しい顔ぶれのMODEである。
    さすが!と思うのはこのあまり知らないModeの俳優たちが、動きの細かい松本演出をこなしていて、ほとんど破綻がなかったことが第一。これだけ形で見せるシーンが多いと、技術も重要で、うまい若い俳優たちが多かった。音楽の使い方もうまいものだが、(かつてはレコード音楽編集だった)今回は音源が苦しい。
    肝心の作品。ブルーのシュルツの作品からのコラージュだが、この作者ほとんど知らなかった。カフカの後継の作者のようだが、その世界はかなり甘い。大筋は現代社会でははみ出して生きた男とその家族をめぐる一種の現世逃走譚で、舞台を見ていれば、懐かしい風景と見とれてしまうが、内容的にはかなり物足りない。せっかくカフカなどという世紀の大物も食ってきた松本修なら、せめて、カズオイシグロくらいは食ってほしいところだ。


    ネタバレBOX

    最後のエピソードがサナトリウムがらみになあっているのはKERAの「カフカ第四の長編」への問答歌かもしれない。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    完璧です!度肝抜かれました。私的にはどストライクの舞台です。かなり人を選ぶ舞台ですが舞台を見慣れている人ならこの舞台の凄さがわかるはず。シュールでエロティックでフェティッシュな舞台ですが、何もかも完璧でした。俳優さんの力量が高く、しかも俳優さんのレベルがみな同じぐらいだからこそできた舞台だと思います。正直、1人でもイマイチな俳優さんがいると舞台が台無しになってしまいますので… すべての舞台愛好家に見てもらいたい舞台です。ほんと最高でした。不条理舞台で2時間ずっと堪能できる舞台はそう多くありません。唯一無二の最高の劇団による最高の舞台です。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    フカ小説の舞台化などしてきた延長戦上にある今回のブルーノ・シュルツ
    ポーランドのユダヤ系作家・画家でホロコースト犠牲者であるが、カフカの翻訳もしているから、「変身」などに雰囲気は似ているが、より退廃的であり、エロティックな雰囲気も色濃い
    その短編小説6つを選んだオムニバス
    最初の「年金暮らし」以外は話が連続していてわかりやすい
    その「年金暮らし」はなんか身につまされるところがあった
    退職したシムチオが年金をもらいついでに昔の職場で元の仲間とお喋りするのを楽しみにしていたのを、新課長に追い出され、小学校に入れてもらって子どもたちと楽しんでいたが・・・
    あとの5話は脈絡はあるがよりシュール
    お父さんは世界中の鳥の卵を集めて孵化してどうにもならなくなったり、ついにはザリガニになったり、死んだはずの後は息子にサナトリウムに探しに来られたり
    お父さん役の榎本純朗がベテランらしい演技、息子の小谷真一も
    若手の中嶋真由佳、松下美波、山本燿らは無表情の表情が印象的だったが、下着姿にもなっての快演
    要は画家としてのシュルツが描いた「絵画」だったのかな
    最初は皆で記念写真を撮るところで始まり、最後は退廃的な三幅の絵を形作って終わる(かなりの時間よく皆微動だにせずにいられるなと感心)
    哀愁を帯びた音楽が印象的だった

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ブルーノ・シュルツの絵は見たことある気がするが、小説は未読。シュルツの半生を描くのではなく、小説を題材にした不条理でエロチックなオムニバス。絵の再現に始まり、絵の再現で終わる。で、一番好きなのは『鳥』。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    チケプレによる観劇、にもかかわらず最前列の良席をいただき感激!関連があるんだか無いんだか判らない6つのエピソードを繋ぐ休憩無し約2時間、舞台装置は机、椅子、階段などを演者が動かして構成し、出番で無い俳優は両サイドに並べた椅子で待機、その裏で着替えもするスタイル。未読の原作とどの程度関係があるか不明ながら概ねシュールな内容、俳優陣は皆さん立ち居振る舞いに存在感があり、音楽がよい異国情緒を出してます。脚フェチの自分にはニヤリとする場面多し、トリフォーと同様、シュルツもそうだったのか。

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