実演鑑賞
満足度★★★
凄く面白い。
素舞台で二人の女優が会話するだけ。それなのにここまでの作品になるとは。考え尽くされた脚本と魅力溢れる役者さえいれば他にはもう何もいらないのだろう。
この脚本にも感心するが、これを現実世界に受肉してみせた二人こそ讃えられるべきだろう。どんなに良い曲を作っても誰かが歌ってくれないことには存在し得ない。
開演前に主催の笠浦静花さんが劇中で台本を朗読してくれる者を募集する。総勢13人。一台詞ごとに100円を貼り付けた紙を渡す。皆、腕に覚えのある人々が集まったのか参加者がスムーズに決まり見事本編に納まった。開幕と閉幕に観客全員で朗読する箇所もあり、ただぼんやりと眺めている訳にはいかせないような仕掛け。参加させる演劇。いろいろと仕掛けていくアイディア。
1628年9月、スペインの首都マドリード。スペイン・ハプスブルク家の支配からネーデルラント(現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルク)が独立戦争を仕掛けた八十年戦争の休戦期。イングランド(イギリス)はネーデルラントを支援する大元。七ヵ国語を操る画家ピーテル・パウル・ルーベンス(木下祐子さん)は外交官としても重宝され、スペインとイングランドにおいて戦争の終結の為に働いていた。スペイン国王フェリペ4世から寵愛を受けた若き宮廷画家ディエゴ・ベラスケス(加藤睦望さん)。自作の「フェリペ4世の騎馬肖像」が離宮から外されルーベンスのものが飾られた事にショックを受ける。
木下祐子さんは何でも出来るいい女。森ようこさんみたいな量り切れない容量を感じた。
加藤睦望さんはオリジナル。もう誰も代わりが出来ない。
色々と考えさせられた。