実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2024/09/21 (土) 14:00
座席1階
男性1人、女性5人が暮らしている家のリビングルームが「変態」を遂げていく。「何か異様な空気を感じる」というせりふをきっかけとしてリビングルームは得体の知れないものに破壊され、形がなくなっていく。
手前にアンサンブル・ノマドの演奏スペース、後ろ側に俳優たちが動くリビングルームという簡素な演出。リビングルームの「変態」をアンサンブルが奏でる不協和音が彩る。チラシにある「フィクショナルな劇空間に音の粒子が混ざり合う」とはこういうことか、と理解する。
これが「物語と音が溶け合っていく」芸術だと言われるとそうなのかと思うが、個人的には「劇空間」とは言いづらい。物語性が決定的に欠けていて「だから、何なの」という気持ちで終幕を迎える。せっかくのアンサンブルなのに、最初から最後まで一貫した不協和音ばかりで、いい気持ちはしない。美しい弦楽四重奏に乗って、リビングで繰り広げられる家族劇という展開なら、希望が持てたのだが。