"Gouche" 公演情報 PANCETTA「"Gouche"」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「皆で奏でる音楽劇」

     宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」をもとに身体表現と音楽を融合させた作品である。

    ネタバレBOX

     ゴーシュ(一宮周平)はセロ(佐藤竜)をうまく弾くことができず、楽長(佐々木ゆき)から強く注意され落ちこんでしまう。ひとり練習を重ねるゴーシュのもとにかっこうや猫、狸や鼠がやってくる。動物たちと戯れているうちにゴーシュはじょじょに上達し、やがて自身の性格も明るく前向きなものへと変わっていく。

     本作の面白い点は、ミュージシャン(加藤亜祐美、志賀千恵子、鈴木広志)の演奏を背景にゴーシュやセロと動物たちのやりとりがコミカルかつ可愛げに描かれていた点である。それぞれの動物を想定して作られたのであろう音楽を奏でながら、出演者が会場に向けかっこうの鳴き声や狸が腹を叩く音を投げかけ、観客のレスポンスを受けて演奏チームが盛り上げるという円環ができあがっていた。動物役を兼ねた佐々木ゆきと轟もよ子が達者である。

     一宮周平が時折見せるゴーシュの根深いコンプレックスとそれを乗り越えようとする姿勢、それに呼応するかのように佐藤竜演じる擬人化されたセロもまた性格がじょじょに明るくなっていくところなど、この二人の芝居があることで作品が深くなった。事前に配られた造花を観客がゴーシュに渡す場面で見せたゴーシュの戸惑い、そこから自信をつけていくという芝居が印象的である。セロを奏でる場面では二人で歌い上げるという表現も会場を沸かせていた。

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    2024/08/07 16:45

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