いっかいやすみ 公演情報 ポッキリくれよんズ「いっかいやすみ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    人生、いっかい立ち止まり考える時間と場所が必要、そんな特別な日を描いた物語。
    チラシにあるような場所で偶然に出会った男女のほろ苦い思い、そのリアルな姿がちょっと切ない。登場する人物に料理人がいるが、その人が作るティラミスは<苦い>と評される。まさにその言葉を比喩としたような どうして苦いのか 得体のしれない不安や戸惑いが押し寄せる。

    表現し難い感情、思いの距離感とでも言うのか、そんな曖昧で漠然とした気持を実に自然体に演じ観せる。また冒頭、男2人が何やら怪しく謎めいた会話から始まり 興味を惹かせる導入部、そして いつの間にか日常的な光景へ、その展開の仕方も好かった。何より この場所がどういう所なのかという設定が妙。
    (上演時間1時間35分 休憩なし) 7.15追記

    ネタバレBOX

    舞台はリゾート地にある貸別荘 そのリビング。中央にテーブル、上手にビーチベット、下手はインナーバルコニーorテラスのような所に椅子、全体的にスタイリッシュといった感じ。上演前には海鳥の鳴き声、波の音が聞こえ海辺の風景が浮かぶ。

    物語は、この貸別荘を契約するか否か判断するため下見(体験宿泊)にやって来た夫婦、そしてダブルブッキングしたカップルという2組、何とか商談成立させたい営業担当者(ベテラン-木村智之と新人-牧沙織)とその周りの人々が織りなす<休息劇〔⇦勿論 造語〕>といったところ。宮澤知宏・直美夫妻は、気持に微かなズレが生じているようで、それが修復できるか否か微妙な関係にある。特に妻は 夫が仕事に忙しく心に隙間を作っている。貸別荘はそんな夫との関係を見直すキッカケ、ゆったりとした時を過ごしたいと思っていたが、ここでも仕事の電話が…。
    一方、予約手続のミスで同宿することになったカップル 相田悠木と福原美咲は、男より女の方が収入が多く、相田はデート代を節約するため体験宿泊(すべて無料)に申し込んだ。夫婦とカップルの契約に対する思いの違い、勿論 収入格差など嫉妬・卑屈・羨望などの感情を盛り込むことによって、一層 男と女の<気持>のあり様を浮き彫りにする。

    冒頭、この貸別荘の契約をさせたい木村が、ここの清掃員 山内敏男に別荘(家)の前の持ち主であり、思い出深いと一芝居打ってほしいと依頼している。ミステリーを思わせるような導入が物語への関心を高める。また清掃員の妹?(劇中では木村の妹のようだったが、当日パンフの役名が山内葉子)が、レストラン勤務で心を病み この別荘へ逃げて来て…。皆なんらかの事情で<休みたい人々>が集まってしまう。夫婦、カップル夫々の関係の表面を取り繕いつつも、内に抱え発散できないモヤモヤした気持、その表現し難い感情を巧く描いている。また営業職にある者の焦りと苦悩、それをベテランと転職を繰り返す新人、この2人を対置させることで清濁を分かり易くしている。

    舞台技術は、波の音や時間経過を表す照明の諧調。特に花火を連想させる音響・照明は効果的だったが、物語を強く印象付けるものは感じられなかった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/07/13 00:12

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