01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★ 公演情報 ソテツトンネル「01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    距離感と関心度の描き方
    表層的に齢を重ねていく感覚と、
    その内側に積もっているものの存在感に目を見張りました。

    タイトルがしっかりと物語の骨になり、
    観る側の目を惹きつけて・・。

    でも、観終わって、
    回収されているものの
    内側に埋もれていた様々な感覚にこそ
    心を奪われました。

    ネタバレBOX

    10年とか15年という時間は
    ディテールを着実に風化させる力があって
    一方で十分に昔ではあるはずなのに
    心に深く残されたものについて
    埋め込んでしまうほどの力はない・・。

    作り手は
    数字の謎を物語のベースにおいて、
    登場人物たちの小学校時代を掘り起こしながら
    一方でその記憶にかかわった人々の今を
    しなやかに描いていきます。

    卒業担任の先生が事件に巻き込まれたことから、
    次第にあからさまになっていく
    当時の記憶たち。

    15年たってから仕返しをするような
    心の傷への囚われ方や
    不治の病のなかでの想いの告白から露出する
    異性の友人に対する距離感。

    また、その一方で、
    現在の親子、兄弟や恋人たちの関係から、
    背負ってさらに次の時間に残るものや
    風化するであろうものそれぞれの、
    成り行きや必然までがしなやかに描かれて・・・。

    それは、
    距離感や関心度のデリケートで決定的な差異の表現。
    心のなかで固まって時間に埋もれていくものと、
    ほどけて時間の中に、霧散していくもの。
    一つの刹那や事象から派生する、
    個々の想いや感覚の差異が
    それぞれの質感とともに
    観る側にしっかりと伝わってくるのです。

    タイトルの数字のなぞ解きも
    したたかに回収されます。
    理詰めで提示され
    さらに偏光板を回すように
    角度を変えて浮かんでくる別の画像に
    目を見張る・・・。
    作り手の鋭利な二つの質感の具象化の手腕に瞠目。

    役者たちもメリハリがしっかりと効いたお芝居で
    作品から滲み出る色をコントロールしておりました。。

    タイトルの数字のなぞ解きに引っ張られていたはずが
    終わってみれば
    予想もしない感覚に心を満たされていて・・・。
    作り手のどこか淡々とした表現に織り込まれた
    深く鋭利な感性に、すっかりやられてしまった・・・。

    この劇団、今回が旗揚げとのことですが、
    もっとたくさんの果実を観たくなりました。

    ○○○●●☆☆






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    2010/08/15 08:47

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