実演鑑賞
満足度★★★★
ゴツプロ!二度目。中島淳彦作品も実質二作目。先般拝見した中島作品と同じく、歴史人物を題材に物した脚本。その前作(昭和の女性漫画家たちの群像劇)がかなり上出来であったので比べてしまうが、中島淳彦世界を堪能。良い。
スズナリ10回行ってやっと1回程度(いやもっと少ないか)の本多劇場。余裕あるステージには日本家屋の広い居間(美術:田中敏恵)が古い木造家屋の濃い茶系で落ち着きがある。最奥に廊下がわたっているらしく、全面窓から緑の庭が見え、その上手寄りに庭へ出る扉、さらに上手袖はその先に部屋々々があるらしい。上手側面の壁には戸付きの棚、それを正面に見た右側(舞台前面)へ消える通路もはけ道。下手手前から袖へ玄関、そこからまっすぐ舞台奥の上方へ、二階へ上がる階段。作家の書斎に至る。
五つの出入り通路を頻繁に行き交う動的な舞台である。見れば演出が青山勝。道学先生の作・演コンビの舞台は拝めないと思っていた(故人の作を再び青山氏が演出する事もあり得た訳だ)。その主要メンバー・かんのひとみの水を得た魚の如き存在感も初めて目にした。一挙手一投足が、美味しい。
他俳優も特色ある存在感で役柄を演じ分け、質が高い。改めて見たゴツプロのサイトにて、所属俳優がある旨を知り、この劇団のネームが入った公演チラシを目にする頻度が高い理由も理解。
ゴツプロ!を初めて観た舞台も別の作・演出だったが、所謂<レベル高め>?な俳優集団が傾きがちな甘めウェルメイドに堕ちず、味付け辛めで好感触。その線は今回も裏切らずであった。
無頼派、と言えば二名の小説家を知るのみだが、事実は小説より○○の世界がそこにあり、作者が魅惑され、見つめたのだろうその眼差しに同期し、なぞって行く舞台。