団地ング・ヒーロー 公演情報 コケズンバ「団地ング・ヒーロー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    笑いの渦、その笑劇の中で衝撃な告白。それがフライヤーにある「ヒーローになんて なるもんじゃない。失うものが多すぎる」だ。多くの笑いの中だけに、その悲哀は強い印象を与える。

    2日目(22日)も渡辺シヴヲ氏の代役として飯島タク氏が演じた。急遽ということもあり、始めはスマホ(台本)をチラ見しながらだったが、いつの間にか開き直って読みだした。主宰で作・演出の穴吹一朗氏との掛け合いは、台本なのかアドリブなのか分からない、そんな笑わせ方である。コメディ作品の中に、違った感覚(要素)の笑いネタが挿入されたようで面白可笑しさが倍加したみたいだ。
    (上演時間1時間45分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、小立花団地内の集会室といった所。上手に座敷--座布団、ミニテーブル、扇風機。中央奥の壁際--折り畳んだ横長テーブル、公衆(赤)電話。下手--横長テーブルに椅子2脚。それ以外にホワイトボードや掃除道具、消火器が整然と置かれている。

    主人公 若宮慎太郎(魚建サン)は、若い頃に山で遭難した人を助け、ひょんなことからヒーローになる そんな選択をした。しかし、ヒーローらしい特別な力を発揮することもなく、今では団地の管理人をしている。そこへ1人の女子大生 砂川愛美(空みれいサン)が訪ねて来て力を貸してほしいと…。一方、最近 団地へ引っ越してきた女性 丸山奈々(横山胡桃サン)と、住人・主婦 藤田美里(北原芽依サン)が友人のようだが 様子が変。この2つの話が交錯し展開する。最後の3女優による修羅場は圧巻だ。

    若宮のヒーロー<スーパー・グレイト・フラッシュ>に係る話は、誰も信じない。そもそもヒーローなんてTVドラマの中だけの存在、冒頭 そんなことを彼自身が自虐的に話している。それでも人の役に立ちたい、そんな願望が生き甲斐になっている。オジサンいや老人になってもロマンが…公演は、そんな儚い?思いを綴っているようだ。
    ちなみに、当日パンフに「コケズンバ」は、「『虎穴に入らずんば虎子を得ず』から拝借し、意味は『危険を冒さなければ、大きな成功は得られない』のたとえ」で命名したと。

    2人の女性の関係は、学生時代の苛めが絡む復讐。その負の連鎖を断ち切りたいが、若宮にはそんな<力>はない。もともとヒーローの存在など信じていない団地の住人達--小関直樹(迫田圭司サン・小説家)・川俣修(穴吹一朗サン・アルバイト)・宇佐美達郎(飯島タク サン・長距離ドライバー)が面白可笑しく たきつける。繰り返し行う変身シーンが、笑いと哀切を感じさせる。
    衣裳替えによって時間の経過を表す。照明の効果的な印象付け、優しい音楽で雰囲気を盛り上げる。

    ヒーロー=特別な能力があることを知られてはならない、そのためには一人でひっそりと暮らすこと。だから独身である。ダンシング・ヒーローならぬ団地ング・ヒーロー、しかし本当は地団駄・疲ー労といった心境かもしれない。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2024/05/23 05:31

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大