実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/04/20 (土) 11:00
座席1階
大衆食堂を舞台とした人情劇。予想外の展開もあり、「語り部」らしく作り手の思いがよく伝わってくる秀品だ。
終戦直後の混乱期に先代が始めためし屋。工場開設など戦後の発展と共に繁盛した駅前店だったが、二代目に代わった今は工場も閉鎖され急行も止まらなくなって客数は減り、今や常連で何とかもっているという状態だ。
主人公は店を切り盛りする二代目とその娘だが、常連客一人ひとりに物語がある。最初に登場するのは常連客の板金工で、キャバクラの娘に一目ぼれするところから店は騒がしくなっていく。
常連客同士の関係など、人間模様がクロスオーバーして面白い。ラストは予想外の展開となるが、店が繁盛したあとに、店を支えてきた常連客はどうなってしまうのかという思いは残った。「底ん処」の続編があってもいいかもしれない。
食堂で出される食事は本物で、毎回作るのだとか。こんなところに舞台への思い入れを感じる。
この舞台は再演で、東京ストーリーテラーのファンのハートをつかんでいる。ダブルキャストで演じられるが、土曜のマチネとソワレは両方とも満席という。カーテンコールの拍手は力強く、客席の満足度を物語っていた。