実演鑑賞
満足度★★★
老舗クラブ『アカシア』を彩る人々をキャストの皆さんは魅力的に演じていたし、一つの世界が出来上がっていたと思う。反面、脚本は少々空回りしていた印象をぬぐえない。
全体的に見ると、短いエピソードをいくつもつなぎ合わせて一つの物語にしたようで流れがスムーズでない。メインキャストの「いちか」及び「華子」と亡くなった祖母との生前の交流が描かれていないため、クライマックスの再会(?)のシーンで感情移入できない。祖母の化身である新人ホステス(月下ひまり)の登場が唐突だし、彼女がいくらか大人びた物言いはするものの祖母を感じさせる何か(言葉遣いとか立ち居振る舞いとか)が表現されていたのかわからない。(観ている方はそもそも祖母がどんな人だったのか知らない)「香水の匂い」や「娘に対する呼び方」で孫たちに祖母と気付かせるのはいかにも即物的で興を削がれる。
以上、思いつくまま気付いたことを書いた。ハートウォーミング的な作品に仕上げたかったのかも知れないがそこまでたどり着いていなかったように思えてならない。もっと情緒が欲しかった。