1968・12・10雨『無血』全公演終了いたしました。ご来場の皆様に感謝いたします。 公演情報 獏天「1968・12・10雨『無血』全公演終了いたしました。ご来場の皆様に感謝いたします。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    Aバージョンを観た
    当日配られるパンフレットは見逃さず読んだ方が良い。「3億円事件」の容疑者を追いながら、剃神というデカの人生を描写した作品だった。とにかく丹念に練り込まれた本が素晴らしい。これに加味して個々のキャスト陣のキャラクターの立ち上がりや演技力、アクションは見事だった。

    オープニングからの勢いは留まる事を知らず、舞台セット、音楽、照明、伏線の回収などプロとしての職人技に圧巻された。しかしだ・・、惜しむらくは、これだけの事件性と演技力があったなら何もおちゃらけたコメディな部分は必要なかったような気がする。あくまでもストレートプレイに徹して、その実力を誇張してほしかったのだ。むしろストレートプレイのほうがこの場合、馴染む。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    東芝府中工場のボーナス約3億円を積んだ現金輸送車が、偽白バイ隊員によって強奪された事件。しかし犯人の逮捕には至らなかったものの、名刑事・平岡八兵衛は捜査の指揮をとりながら犯人に目星をつけていた。「あいつが犯人だ。必ずボロを出す。とことんまで食らいつけ!」と剃神に指示を出す。

    結果、剃神は四六時中、タクシー運転手の草野に貼りつき監視し張り込む。云わば草野のストーカーと化した剃神の視線に怯え、また多数の人々から嫌がらせを受け精神的に追い詰められた草野は自宅から一歩も出られなくなってしまい鬱となる。

    そんな中、いつも視線の先にあった草野の娘と剃神は自然な形で恋愛感情が芽生えてくるのだった。しかし二人の感情にはいつも不安が付きまとう。容疑者の娘・草野小夜と刑事。彼らの恋は不安定な心とお互いの環境が障害となって常にぶれていたのだった。

    二人の恋に亀裂を入れるように草野の妻が他界してしまう。これを機に草野本人は剃神を呼び出して「ずっと見張ってても何も出てこないよ。俺は犯人じゃない。疲れた、何の為に生きて来たのか、人生の意味が解らない。君にプレゼントをあげるよ、時間という名のね。小夜は妻の連れ子だ。犯人は小夜の実父だよ。」と言ってその場で自害してしまう。

    父が残した小夜宛ての遺書によって小夜と剃神の愛は完全に破壊され剃神は小夜によって民事裁判にかけられる。草野の自殺関与への容疑だ。この時に剃神の過去や剃神の行動も暴かれるのだった。

    一方で剃神と城山は幼馴染だったが、革命家だった剃神の父は機動隊員だった城山の父に闘争の最中、殺されてしまう。働き手を失った剃神家は一気に貧しくなり、そして剃神は城山の父親に金の無心をするようになってしまう。これが起因となって城山の父は廃人同様となってしまう。

    こうした因縁の中でも常に城山は剃神を慕い、剃神を目標として生きて来て、そして自らも刑事になる。終盤、因縁の二人が和解するシーンは序盤に撒かれた伏線を美しくも見事に回収し、その毅然とした情景は男同士の哲学を見せられたような気がした。更に剃神の裁判が無罪になると、小夜の剃神への押さえてた感情や蟠りも一気に氷解し水が溢れるように素直に愛を確信できるようになる。

    草野を追ってた長年の空白を平岡が退職した今、剃神は自分の人生の空虚と捉えていたが、小夜との愛に置き換え小夜と共に生きる決意をする。


    あまりにも本が素敵だったので作家に会ってきたが、「君が暴力団として出演されたほうが迫力あるんじゃないの?」と告白しそうになった面構えでびびった!笑
    「天は二物を与えず。」
    納得した瞬間だった。あまりにも神の言葉が的を得ていた。素敵すぎる!笑

    草野を演じた五十嵐康陽の演技力は見もの。

    4

    2010/07/12 17:58

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  • かいまる>
    無事に千秋楽が終えて良かったですね。ここでの評価も◎で結果を残せてなによりです。

    >五十嵐は、この記事を見て、たいそう喜んでおりました。
    他団体からのオファーも幾つかあったらしく、自信を持つことが出来た公演になったのではないでしょうか。

    おお~~、それは素晴らしいです。役者にとって演技力を褒められることが今後の起動力にも繋がるでしょうから。

    >奴等役者や私のようなチンピラ作家にとって、やる気を漲らせる原点となります。

    流石にチンピラ作家!彼等とはいわないで奴等と放つところ、背中にタツノオトシゴとか描いてないですか?笑
    次回も期待していますね。チンピラ作家には美しい顔がない分、才能があるから大丈夫。本は顔で書けないからねん♪

    2010/07/21 18:20

    無事千秋楽終えました。
    ありがとうございました。

    五十嵐は、この記事を見て、たいそう喜んでおりました。
    他団体からのオファーも幾つかあったらしく、自信を持つことが出来た公演になったのではないでしょうか。

    みさ様のようにこうしたコメントを頂けるのが、奴等役者や私のようなチンピラ作家にとって、やる気を漲らせる原点となります。

    本当にありがとうございました。

    2010/07/21 12:14

    かいまる>
    >分かり易くと本を含め転換など、間際までやっていたのですが、
    時代の流れが上手く行かず、お客様には見づらいものとなってしまいました。

    時代の流れの部分はよっく理解出来ました。
    ソレ以外で、たぶん、お客様に喜んで頂きたい一心でコミカルな部分も・・、と欲張り盛り込みすぎたのかも知れませんね。案外、小劇場の観客は一見さんではなく観客のプロですので、良い芝居は必ず評価されるものです。
    実はワタクシ、貴劇団の勢いと演技派キャストらが織りなす充実した内容に惚れております。
    ですので、次回もその次も、性懲りもなく観劇させて頂きます。

    今回、特に五十嵐康陽の演技が光ってました。本人にお伝えくださいね。


    >ヤクザ顔の獏天イデでした。

    てへへ・・・(^^:)  正直なもので・・。
    えっと・・、脚本家は顔じゃあないです。才能です。才能があるんだから顔なんかどーだっていいじゃあないですか。
    もしかしたら・・励ましになってない?!笑

    2010/07/16 15:00

    観劇ありがとうございました。

    直接感想を頂いた事、大変感謝しております。

    分かり易くと本を含め転換など、間際までやっていたのですが、
    時代の流れが上手く行かず、お客様には見づらいものとなってしまいました。

    みさ様の真摯に芝居を見るという態度に本当に気が引き締まる思いでした。

    次は、次こそは・・・と思っておりますので
    これに懲りずにまたいらしてください。

    ヤクザ顔の獏天イデでした。

    2010/07/16 13:00

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