幸福オンザ道路 公演情報 ミクニヤナイハラプロジェクト「幸福オンザ道路」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    あいかわらずの運動量と台詞が面白いぞっ
    やっぱりと言うか、「なんてヘンテコで、なんて面白いんだろう」と思う。
    (ヘンテコとは「いい意味で」です(笑))

    とてもつない運動量と高速台詞が、STスポットっという、小さな場所で、一気に溢れてくる。言葉が言葉が。

    ミクニヤナイハラプロジェクトは、やっぱり面白い。

    ネタバレBOX

    朗読会をカフェで行おうとしている男が、道に倒れていた男を家に連れてくる。外科医の妻はそれが許せない。
    また、そこへカフェの店長が、朗読会の練習のために訪れる。

    一方、昔、7人が同時にビルから飛び降りる事件が起こった。
    その検死を当時インターンだった医者たちが行い、自殺であると判断するも、7人の自殺者のうちの1人は殺人と警察は断定し、当時高校生だった男が逮捕される。
    しかし、それは無実の罪であっことが15年後にわかり、犯人とされていた高校生は逮捕から15年たち、刑務所から釈放される。

    そして、家に連れたきた男は、自分の名前を名乗り、12歳だと言い張る。しかも、彼は常に拳銃を手にしている。しかし、その拳銃は誰にも見えない。

    男の名前を聞いた、外科医の妻の友人の女医たち(昔、インターンだった頃に、7人の自殺者たちを検死した医者)は、その男の言うことに異常に反応する。
    そして・・・。

    そんなストーリーである。

    確かに「サスペンスドラマ」的だ。
    ただし、それは、じっくりと見せていくのではない。

    役者が登場したとたんに、スイッチが入ったように、見事に弾けて、テンションが一気に上がる。ゆっくりなんて待っていられない。
    とにかく、走って、壁を押して、また走る。タンバリンだって叩くし、ギターだって弾く。
    観客はいきなりジェットコースターに乗せられた気分。
    ちょっと、にやっとしてしまうぐらいの面白い台詞もあったりして。

    あれよあれよという間に、いくつかのピースがつながっていく。

    どうやら、全員が走り回るのは「不安」から、そして、全員がタンバリンを激しく叩くのも「不安」からなのだろう。
    引きつるように、一気にたたみ掛ける台詞も「不安」からなのだろう。

    台詞が溢れすぎて、壁にまでポロポロと溢れていく演出が面白い。
    台詞の中の本質が文字で示される。

    科学の話ではなく、「自分が誰なのか」という「不安」に苛まれている人たちの物語のようだ。
    なんとなく、この科学との感じは『青ノ鳥』を連想させる。

    カフェのオーナーとそのウエイトレスも、それぞれの自分に対する不確かさが、様子をおかしくしているし、12歳と名乗る男が現れてからの、女医たちの混乱ぶりは、自らの存在を不安に陥れられてしまったようだ。

    最初からしきりに、走っては「壁を押す」を繰り返す出演者たち。
    その動きは、目を離すと、まるで壁が自分たちを押しつぶすのではないか、と神経質になっているようで、見ていて、息苦しくなってきた。狭い空間なのでなおのこと。

    「壁」に押しつぶされないように、走り、叫ぶ。

    約60分の上映時間は、あっという間だった。
    一応、ピースは結びついたのだが、物語としては、その緒についたばかりの印象だ。もう1つ、深いところに連れて行ってくれて、「幸福オンザ道路」が完成するのではないかと思った。

    女医を演じた3人の女性(すみません、黒岩さん以外、役者の顔と名前が一致しません)がとても印象に残った。

    そう、この舞台、あひるなんちゃらの黒岩さんが出演するということをフライヤーで見て少し驚いた。だって、あひるでは、こんなに運動量がなく、やや冷めた感じで突っ込み、やや冷めた感じでノイローゼな人を演じているイメージだったから。しかし、アノ独特の冷めたような表情で、激しく動き、そして、台詞を言うのは、とてもこの舞台にフィットしていて、その「普段と違うところ」と「普段と同じところ」のバランスが少しツボだった。

    これで、あひるのほうも少し変わったりしたら・・・んなことはないか(笑)。

    0

    2010/07/06 05:58

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大