幸福オンザ道路 公演情報 幸福オンザ道路」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    役者の力、映像の力
    初日と10日、2度にわたって拝見しました。

    役者の動きから湧き立つイメージが
    映像にすっと取り込まれて・・。

    その空間に広がる作り手の感覚が、
    皮膚から心の中にまで
    しみこんでくるような気がしました。

    ネタバレBOX

    入場時から街の風景や、
    その中で倒れ、起き上がる人の姿と
    散らばり、時に文章として集合するアルファベットの動きが
    重なって壁面に映し出されています。

    役者が舞台に現れ、カットインするように物語が始まる。
    そして、役者たちの駆け足に度肝を抜かれる。
    その運動量に圧倒されて・・・。

    現れてくるものは
    物語というよりは、いくつものシーンの断片。
    記憶と想像が混在して納められた部屋の
    いくつものイメージが照らし出されていく感じ。
    それらが重なり合っていくうちに、
    なにかがゆっくりと溢れ出してくる。

    あいまいさと生々しさが、
    映像が示す内心の質感とからまりあって
    空間に広がっていくのです。

    役者の圧倒的な動きや台詞の切れが、
    映像による内心の具象化と重なるたびに、
    観る側に作り手の感覚がなだれ込んでくる。
    その映像は時に抽象的で、あるいは具体的で・・・。
    世界をしっかりと演じきっていく役者たちの
    演技の鋭利さが、
    感覚に深さを作り出していく。

    孤独、理性、新しい感覚の違和感、コントロールできない心情、
    閉塞感・・・。
    積もる言葉、閉じ込められた感覚、それらからやってくる痛み、行き場のなさ・・・。流れだしてくるもの、溢れくる想い・・・。

    次第に明瞭なカオスが満ちてきて、
    その中に観る側が
    なすすべもなく取り込まれていく感じ。
    圧迫感を感じる舞台から
    目が離せない。

    その世界を潜り抜けて、
    再度現出した駆け足のシーンからやってくる世界は
    冒頭とまったく違っていました。

    画像の文字が滲んで広がり、
    昇華するように輝きに変わっていく感覚が
    震えが来るほどにわかる。
    さらには街を走るスピードを伴った広がりが
    視覚から皮膚を貫いて内心を満たしていく。

    ラストシーンを観終わって
    観る側に置かれた
    作者の内心の残存感・・・、
    しなやかさや解像度に気づき
    ふたたび息を呑む。

    席を立つときには作者の創意と、
    それを支えた役者たちの力に
    がっつり淘汰されておりました。

    ちなみに初日と比べると
    10日の公演では
    カオスの部分がさらなる解像度を持ってすっきりとしていて、
    ちょっと感触の違った作品になっていました。

    公演を重ねるにしたがって
    さらに育っていく要素を持った作品でもあったのだと
    思います。
  • 満足度★★★★

    あいかわらずの運動量と台詞が面白いぞっ
    やっぱりと言うか、「なんてヘンテコで、なんて面白いんだろう」と思う。
    (ヘンテコとは「いい意味で」です(笑))

    とてもつない運動量と高速台詞が、STスポットっという、小さな場所で、一気に溢れてくる。言葉が言葉が。

    ミクニヤナイハラプロジェクトは、やっぱり面白い。

    ネタバレBOX

    朗読会をカフェで行おうとしている男が、道に倒れていた男を家に連れてくる。外科医の妻はそれが許せない。
    また、そこへカフェの店長が、朗読会の練習のために訪れる。

    一方、昔、7人が同時にビルから飛び降りる事件が起こった。
    その検死を当時インターンだった医者たちが行い、自殺であると判断するも、7人の自殺者のうちの1人は殺人と警察は断定し、当時高校生だった男が逮捕される。
    しかし、それは無実の罪であっことが15年後にわかり、犯人とされていた高校生は逮捕から15年たち、刑務所から釈放される。

    そして、家に連れたきた男は、自分の名前を名乗り、12歳だと言い張る。しかも、彼は常に拳銃を手にしている。しかし、その拳銃は誰にも見えない。

    男の名前を聞いた、外科医の妻の友人の女医たち(昔、インターンだった頃に、7人の自殺者たちを検死した医者)は、その男の言うことに異常に反応する。
    そして・・・。

    そんなストーリーである。

    確かに「サスペンスドラマ」的だ。
    ただし、それは、じっくりと見せていくのではない。

    役者が登場したとたんに、スイッチが入ったように、見事に弾けて、テンションが一気に上がる。ゆっくりなんて待っていられない。
    とにかく、走って、壁を押して、また走る。タンバリンだって叩くし、ギターだって弾く。
    観客はいきなりジェットコースターに乗せられた気分。
    ちょっと、にやっとしてしまうぐらいの面白い台詞もあったりして。

    あれよあれよという間に、いくつかのピースがつながっていく。

    どうやら、全員が走り回るのは「不安」から、そして、全員がタンバリンを激しく叩くのも「不安」からなのだろう。
    引きつるように、一気にたたみ掛ける台詞も「不安」からなのだろう。

    台詞が溢れすぎて、壁にまでポロポロと溢れていく演出が面白い。
    台詞の中の本質が文字で示される。

    科学の話ではなく、「自分が誰なのか」という「不安」に苛まれている人たちの物語のようだ。
    なんとなく、この科学との感じは『青ノ鳥』を連想させる。

    カフェのオーナーとそのウエイトレスも、それぞれの自分に対する不確かさが、様子をおかしくしているし、12歳と名乗る男が現れてからの、女医たちの混乱ぶりは、自らの存在を不安に陥れられてしまったようだ。

    最初からしきりに、走っては「壁を押す」を繰り返す出演者たち。
    その動きは、目を離すと、まるで壁が自分たちを押しつぶすのではないか、と神経質になっているようで、見ていて、息苦しくなってきた。狭い空間なのでなおのこと。

    「壁」に押しつぶされないように、走り、叫ぶ。

    約60分の上映時間は、あっという間だった。
    一応、ピースは結びついたのだが、物語としては、その緒についたばかりの印象だ。もう1つ、深いところに連れて行ってくれて、「幸福オンザ道路」が完成するのではないかと思った。

    女医を演じた3人の女性(すみません、黒岩さん以外、役者の顔と名前が一致しません)がとても印象に残った。

    そう、この舞台、あひるなんちゃらの黒岩さんが出演するということをフライヤーで見て少し驚いた。だって、あひるでは、こんなに運動量がなく、やや冷めた感じで突っ込み、やや冷めた感じでノイローゼな人を演じているイメージだったから。しかし、アノ独特の冷めたような表情で、激しく動き、そして、台詞を言うのは、とてもこの舞台にフィットしていて、その「普段と違うところ」と「普段と同じところ」のバランスが少しツボだった。

    これで、あひるのほうも少し変わったりしたら・・・んなことはないか(笑)。
  • 満足度★★★★★

    観ました
    「サスペンスドラマ」なのかな?面白いけど。

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