風変わりなロマンス / 悲しみ 公演情報 劇團旅藝人「風変わりなロマンス / 悲しみ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    芸術的なセンス
    あっぱれ!という言葉以外に賛辞の表現を思いつかないほどの秀逸な舞台だった。特に「悲しみ」の演出は叙情的でもありギリシャ神話をも思わせるような美しく甘美でもありながら、現実に襲い掛かる悲しみと後悔の負の感情表現を見事に表現していた。なにより、演じたキャストらが素晴らしい。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    「風変わりなロマンス」
    孤独な独身男・ウェアーは何をやっても上手くいかない。他人と関わること自体が苦手で、自らも殻に閉じ込めてしまう。そんな男がある日、下町の古びた宿屋に泊まるも、そこの女主人・べラと情を交わしてしまう。女主人も家族がありながら孤独だったのだが、自由奔放な女でもあった。

    ベラはそんなウェアーに対して「男に必要なのは女なのよ。家族を持たない男は家族に捧げる愛情を他で埋めようとするから、気がつかないうちに変人になってしまうの。」などと会話をしながら楽器を奏で心を開かせようとするも、既に妄想のなかで生きてるウェアーは猫のニチボーにしか心を開くことが出来なかった。そんなウェアーに苛立ち、ベラはニチボーを捨ててしまう。

    ショックで精神的に病んだウェアーは精神科の病棟に入院するも退院して宿屋を訪れると、ベラは既に宿泊客とデキておりニチボーは相変わらず、行方不明だった。ベラに追い出されたウェアーは必死になってニチボーを探し、再会する。

    宿屋の部屋でベラが奏でる楽器が一番美しいシーンだった。癒しを求めていたウェアーはベラの強引なアプローチによって関係してしまうも、この後のニチボーを巡っての言葉による傷つけあいの展開は、「だから俺は人間が苦手なんだ。」といわんばかりのウェアーの心の叫びが聞こえるようで、脱力感、失望感や挫折感を伴った舞台だった。最後の希望としてニチボーと再会できたのが救い。



    「悲しみ」
    実に美しい場面だった、コロス達の天使の歌声に神的な震撼を覚えたほど。老人グリーシカは女房のマトリョーナを酒の勢いを借りて、殴ってしまう。倒れるストリョーナ。驚いたグリーシカは老いぼれの牝馬でドクターの元に走るもマトリョーナは息を引き取ってしまう。この時になってようやく己のマトリョーナの対する仕打ちを後悔するも、どうすることも出来なかった。

    若かりし頃の夫婦の生活情景から、やがて、グリーシカが働かなくなり酒に溺れ、女房のマトリョーナを母親と勘違いして甘え、挙句、殴って殺してしまった愚か者の老人の描写の仕方を過去と現在を交差させながら、コロス達の歌声とともに詩的に演出する。この演出の仕方が実に美しくこの世とは思えない場面だった。ドクターの顔の演出も素晴らしい。ファンタジー的でもある。

    グリーシカはマトリョーナを失ってはじめて、「人生はなんとあっというまに過ぎて行くのだろう。もういっぺんやり直せたらな~。。酒と喧嘩と貧乏に紛れてあっというまに過ぎてしまった。そういやマトリョーナな奴、物乞いしたこともあったな~、俺をこんな奴だと思ったまま逝っちまった。もう10年生きてたら、俺だって・・・、ああ、もういっぺんやり直せたらな~。。」と呟く。

    愛情、友情、依存、共栄の対象が失って初めて、「悲しみ」を感じ、対象と自身とのつながりが強い程、深い悲しみが訪れたグリーシカだったが、彼の最大の悲しみは過ぎ去ったものへの後悔と大事にしてやれなかった対象が失われた深さに大きく起因し、そして自身の孤独だ。

    だから・・、自身の脳でその現実を受け止めるとともにこみ上げてくる感情は事実を否定したいほど悲しむのだが、現実は今を拒絶する。

    清水理沙の天使の声が破壊的なほど美しい。役に見合った年齢のキャストらはこの舞台を崇高なほど完璧に仕上げていた。芸術的な舞台だった。。

    5

    2010/06/26 13:22

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  • きゃる>
    >ところで、「ウェアー」って名前もカツラの着用を暗示しているような役名ですね・・・・ってこれも気を回しすぎかな(笑)。

    いあ、たぶん、暗示かと。笑

    >こちらは夫が妻に、岩☆ロック座のほうは妻が夫に、となかなか教訓になるお話でした。たまたまそういう作品の観劇が重なるというのも小劇場系の妙味といえますね。

    ええ、舞台ってすんごく面白い!教訓ってそのときは改心しようって思うのだけれど、直ぐに忘れてしまうから、こうして何度も観るのはいい勉強になります。

    2010/06/29 18:26

    みささま

    あ、すみません。面倒くさいことをして(笑)。確認してから削除しようか迷ったのですが、かえって失礼しました。恐れ入ります。
    殿様ランチもこの作品も、俳優さんが別人に見えてしまいました。ところで、「ウェアー」って名前もカツラの着用を暗示しているような役名ですね・・・・ってこれも気を回しすぎかな(笑)。
    こちらは夫が妻に、岩☆ロック座のほうは妻が夫に、となかなか教訓になるお話でした。たまたまそういう作品の観劇が重なるというのも小劇場系の妙味といえますね。
    教訓、「浦島氏の教訓」というのもありますし、このところ連鎖が続きます(笑)。

    2010/06/29 15:19

    きゃる>
    >前の件、連絡事項なので、最初の私のコメント削除しておきました。みささまも返信を削除されてかまいません。あとで、私のこのコメントも削除しておきますので。

    なして、わざわざ削除されなきゃ、あきませんの?
    そんなメンドクサイことしたくないですよ。細かいことは気にしないタイプですので、きゃるさんも、気兼ねなくコメントしてくださいね。
    そのほうが楽に生きられる。笑

    2010/06/29 14:45

    みささま

    すみませんでした。先方の走り書きではマかスか筆跡がわかりにくかったのでしょうね。
    前の件、連絡事項なので、最初の私のコメント削除しておきました。みささまも返信を削除されてかまいません。あとで、私のこのコメントも削除しておきますので。


    2010/06/29 14:35

    きゃる>
    ヅラって物凄い威力ですよね。あんなに顔が変ってしまうものなんですね。しかし、ハゲのウェアーのほうがカックいい!(^0^)

    マトリョーナでしたか・・。(恥)
    こちらのスタッフが書いて下さったのだけれど、完璧に「マ」と「ス」のメモの字の見間違いですね。
    本文も訂正しておきます。ご丁寧に有難うございます。

    2010/06/29 11:39

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