満足度★★★★★
日本のリーディング
小粋な演出でリーディングという手段の面白さを存分に体感。舞台に入り込むというよりは付かず離れずの視点で観劇。
霊魂天地行き交う近代以前の世界観で、祭礼儀式のような拍に物語の緩急を織り込み、日本の美学よろしく制限によって想像力を刺激する。
唄ったり進行したり群像になったりと、コロス的な少女達が結構な働きをしており、朗読ながら立体的な空間を味わえた。
「文字」や「紙」など、リーディングだからこそ使用できる素材を日本的な方法で上手く取込んで、リズムに変化を付けていたのも面白い。
元々どのような上演方法が想定されていた台本だったのかは知らないが、
ト書きなど聞いていると全体的に発想が幻想的で、これを今立ち芝居にするとややもすると剽軽になったり野暮ったくなるんじゃないだろうかと思ったりしたので、あえてこのスタイルで上演した意義が感じられた。
舞台天井奥に吊られた純白の着物にラスト、舞台下側からの光線が当たると、裏地に描かれていた菖蒲の花が透かし見えてくる(「アヤメ」は主人公の女の名)という演出がニクい。