クリスタル・ダスト 全公演終了!ご来場ありがとうございました。 公演情報 現代能シアタープロジェクト「クリスタル・ダスト 全公演終了!ご来場ありがとうございました。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    素晴らしい演技でした、満足!
    ボストンバッグを持った女が道でうずくまっていたところをアロママッサージの女が声をかける。やけに疲れているようだった。アロマの女はこの女にフットマッサージでもどうかと自宅に連れて帰る。何やら感じたものがあったようだった。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    アロマの女はマッサージをしながらテラピーもする。するとボストンバックを大事そうに持った女の生霊が現われる。この場面がゾクゾクするほどのド迫力でいったいどうやったらあんな演技が出来るのか、と感服したほど。怨霊と化した魂がそこに存在していた。

    黒髪はおどろに乱れ地の底から響くような声で凄まじくも美しい、まさに夜叉の顔だった。美しい夜叉が男を恨んで鬼となった場面、恐ろしい女の情念のおどろおどろした情景だった。更に生霊独特の体の動かし方が想像を絶する。貞子・・?あんな恐ろしい化け物を見たのは後にも先にもこの舞台だけだ。演じたのは加屋安紀子。この役を自分のものにするのに相当、努力をしたのだろうな、とも思う。

    聞けば、自分を捨て若い女と不倫した挙句、自分に暴力を振るう夫を取り殺そうとの怨念から、女の呪いに転じたようだった。生霊は夫への恨みを訴え、まず相手の女の命を奪ってしまう。その亡骸はボストンバックの中だ。

    生霊は人間本来の持つ欝の部分、嫉妬、復讐、孤独感を表現しながらもテラピー女との会話から少しずつ浄化されていく。その浄化の証がワインボトルから流れるさ砂だ。そうして我に返ったボストンバックの女は人生をやり直す展開で終盤を迎える。

    不倫が先か、夫婦の破綻が先か?なんて場面もあったけれど、それよりも何よりも今回は加屋の演技を観られただけで幸せというものだ。

    8

    2010/06/17 01:02

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  • きゃる>
    ぐはぁああ・・!
    マジっすか?!
    夏に向けて怪談話ですか。止めてくださいよ。バックミラーに生霊が映ってたら、どーするんですか!
    そーじゃなくても、あのキャストの生霊っぷりぷりを時々、思い出すワタクシなのですから・・。笑
    一度、観てみたいもんです。新宿の生霊!

    2010/06/24 22:01

    みささま

    遅ればせで申し訳ありませんが、実はわたくし、この生霊みたいなかたを知っています。
    もうかれこれ3年くらい、歌舞伎町にいるかたで、スーツケースと紙バッグを引きずって、顔をいっさい見せず、老婆のようにからだを半分に折ったままの姿勢で、ずっと立っておられます。この姿勢、つらいと思うけど、微動だにしません。
    一番最初に見かけたときは、秋で、ロングヘアでおしゃれな森ガール風のフルフリファッションで、顔も見え、まだ若く20代後半くらいで、体は折ってませんでしたが、ホームレスになったらしく、だんだん汚れてきて、あるとき眼帯をしてました。
    一番最近見たら、すっきりショートヘアになり夏姿で、でも、大荷物を持って相変わらず体は2つ折で長時間、同じ場所にいます。
    最初、このお芝居を観たとき、あの人がモデルかと思うくらい、生霊の女性に姿勢や雰囲気が似ていました。

    2010/06/24 15:43

    きゃる>
    >今回、配役表がなかったので、あればなぁと思いました。

    はい。ですから終演後、脚本家にお伺いしました。
    不信な点やキャストらの配役が分かりませんと、放っておけない性分なものですから・・笑

    >感情移入しまうため、見終わった後に「浄化」されないのが難点です。「能」とふつうの劇の違いはそこです。鬼女や夜叉、生霊、亡霊が出てきても、「能」はそのおどろおどろしさが印象的に残るのでは失敗なのです。

    なるほど・・、そうでしたか。確かに浄化の部分は希薄でした。
    どこで浄化されたかが、良く理解できませんで、ワインボトルから落ちる砂流がそうだったと聞かされた時は、「そうだったのか。」と納得した次第です。無知な人間ほど無謀なもので、けれども無知ほど強いものはありませんから、「」恥」をブラブラぶら下げて、あれやこれやと脚本家を質問攻めにしてしまいました。苦笑!

    >古典芸能の役者は「観客を必要以上感情移入させない節度」を内面で守って演じるよう、幼時から訓練されます。それは足かせでもありますが、足かせをはめることで、つまり節度を守ることで、現実以上の演技ができるようになった人が伝統芸能では名優と言われるのです。

    なるほど。良く分かりました。
    ワタクシなど、能は年に一度観れば○みたいな世界観しか持ち合わせておりませんで・・、能の節度に関してはピン!ときませんが、伝統というものはきっとそういうものなのでしょうね。
    素人のワタクシには生霊のリアルさだけに感心し、また、今でもあの演じ手は素晴らしかった。とトイレに入ったとき、入浴したとき、睡眠前、シンと静かな闇夜に息苦しくも思い出すのです。こうも思い出すということは、きゃるさんのおっしゃる通り、能としては失敗なのでしょうけれど、ワタクシの中では成功でした。それほど、彼女の演技にゾクゾクしたのです。

    >能は「生と死の苦しみと争いごとの愚かさ」をあれほど描きながらも、生死の境で命がけで争う戦国武将から弾圧を受けず、切り捨てられず、むしろ愛好されたのは、単なる娯楽・教養ではなく、「魂の浄化」がなされる芸術だったからです。「クリスタル・ダスト」という表題からも、「生の澱を取り除き、浄化する」芝居だと言うことがおわかりでしょう。

    勉強になりました。

    >今回の作品は戯曲としてはすばらしかったので、演出上の問題点を乗り越えれば、より「現代能」としての完成度が増すと思います。

    ええ、次回の公演が楽しみですね。次回も観に行きたいと思います。

    2010/06/19 11:44

    みささま

    初見だったんですね。今回、配役表がなかったので、あればなぁと思いました。
    私は新宿眼科画廊って2度目ですが、他劇団ですが前回もドロドロ系の怖い芝居でした。
    今回、満席なうえに濃厚な内容で息苦しく、「エコノミークラス症候群」になりそうだった(笑)。前回の劇団はお客さん少なくて、怖かったけどのんびり観てました。

    「生霊」の演技、加屋さん個人の演技力はすばらしく、決して演技そのものにケチをつける気はないですが、一般のお芝居でしたらあれでよいと思いますが、ここは「現代能」の専門劇団なので、レビューに記したとおり、演出上「生霊の表現」に一考を要すると思いました。演者がリアルな迫真の演技をしすぎると、観客はその演技に「凄いなぁー」と注目し、感情移入しまうため、見終わった後に「浄化」されないのが難点です。「能」とふつうの劇の違いはそこです。鬼女や夜叉、生霊、亡霊が出てきても、「能」はそのおどろおどろしさが印象的に残るのでは失敗なのです。
    能楽の一部である狂言も強盗や詐欺師のような非社会的な悪人が登場しますし、歌舞伎の場合も能のような「浄化」は謳わない大衆娯楽ですが、強姦、近親相姦、殺人などを描いていますが、古典芸能の役者は「観客を必要以上感情移入させない節度」を内面で守って演じるよう、幼時から訓練されます。それは足かせでもありますが、足かせをはめることで、つまり節度を守ることで、現実以上の演技ができるようになった人が伝統芸能では名優と言われるのです。
    一般劇団が能をヒントに現代劇を創作するだけならいくらリアルでもかまわないのですが、「現代能」と謳い、「現代人に能のすばらしさを現代劇として伝える」という役目をもつこの劇団の場合は、演劇として単に面白いだけではなく、「能の骨子であり、役割である魂の浄化」をはずすわけにはいかず、「画竜点睛」を欠く意味からもレビューで指摘させていただきました。
    能が浄化を目的とした芸術であるのは、能舞台に「松=神仏の象徴」を描いている点に明らかです。
    能は「生と死の苦しみと争いごとの愚かさ」をあれほど描きながらも、生死の境で命がけで争う戦国武将から弾圧を受けず、切り捨てられず、むしろ愛好されたのは、単なる娯楽・教養ではなく、「魂の浄化」がなされる芸術だったからです。「クリスタル・ダスト」という表題からも、「生の澱を取り除き、浄化する」芝居だと言うことがおわかりでしょう。
    昨年静岡のSPACで上演された唐十郎の「唐版葵の上~ふたりの女~」も、生霊が出てくる三角関係のドロドロしたお芝居でしたが、演出の宮城聰はそこをしっかり心得ていて、「浄化=節度」を見事に体現していて、優れた能を観終わった時と同じなんともいえない爽快感があとに残りました。今回の「鉄輪」は生霊の凄まじさを演技で強調するあまり、観終わって私は生霊に取り付かれたような重さと疲労感が残りました。緊迫感のあとにそれこそアロママッサージを受けた後のような爽快感が残るのが「能」なのです。
    今回の作品は戯曲としてはすばらしかったので、演出上の問題点を乗り越えれば、より「現代能」としての完成度が増すと思います。

    2010/06/18 14:18

    きゃる>
    割におどろおどろした芝居は好みでもあります。ですからお化け屋敷も好きです。笑
    いえ、加屋さんを初めて観させて頂きました。
    出だしから不気味な指の動きや肩の動き、言いしれぬ異様な動きに魅了されました。
    生霊ってあんな風に動きますよね?実際観たことないけれど・・。

    2010/06/18 01:53

    みささま


    みささまの好まれそうなテーマのお芝居だなーと思って観ていました(笑)。
    加屋さんを以前からご存知なのですか?

    2010/06/17 19:22

    彩星>
    こちらこそ、迫力のあるお芝居を観させていただきまして、大変感激しました。
    加屋さんに宜しくお伝えくださいませ。ええ、またお目にかかりたいと存じます。
    有難う御座いました。

    2010/06/17 11:13

    みさ様 ご来場、コメントありがとうございます!加屋さんにもコメント読むようにお伝えします。また次回、ご縁のある場所でお目にかかれればと思います。

    2010/06/17 01:14

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