満足度★★★★★
初演より進化した舞台に涙が出た
母の演劇部の後輩、宝田明さんの舞台なので、初演に続いて観に行きました。
実は、初演の印象はあまり芳しくなく、初演より再演が上回っていたという観劇体験も滅多にないので、あまり期待していませんでしたが、これは群を抜いて、再演舞台が上を行っていました。
初演では、有名どころをキャストに揃えたものの、アンサンブルがその分、キャステイングに気を抜いたのか、1等船室の客が、とてもそんな風情には見えず、皆が、バラバラな演技をしていて、舞台全体のトータル感が皆無でした。
それが、再演舞台は、無名でも実力あるキャストを揃え、それぞれの役作りが、進化していて、涙を誘われる場面が多々ありました。
松岡さんも、ミュージカル俳優として、成長され、宝田さんの威厳はお見事でしたし、昔から注目していた、アンサンブルの役者さんの目覚しい成長振りも嬉しくなりました。
この演出家は、私の経験上、再演舞台の方が、数段進化する数少ない演出家のお一人です。きっと初演の評判に素直に耳を貸されるタイプなんでしょうね。
楽曲も素晴らしいし、是非再々演して頂きたいのですが、宝田さん、階段の上り下りがかなりしんどいとおっしゃっていたから、難しいでしょうか?
2010/06/12 03:08
2010/06/12 02:11
私、コリッチに参加したのが、昨年の後半だったため、それ以前の良かった舞台のコメントだけは、折に触れて、残しておこうと思いまして、観劇しなかった日に、書き足していたのです。
書く段になって、tetorapackさんも観劇されていたのを知りました。
本当にね、笑っちゃうぐらい、初演では、1等船室の乗客がものすごーく庶民的だったのです。
だから、タイタニックで、命の値段が、身分で左右される不条理感がまるでなくて、致命的欠陥でした。(笑)
宝田さんは、日本のミュージカル俳優の草分けで、今や活躍するミュージカル俳優としては最長年齢だと思うのですが、演劇部時代、母がいつもおごって差し上げていたらしく、会うと、いまだに母が先輩風を吹かせて言いたい放題なので、横で聞いていらした戸井さんがびっくりされていたこともありました。
私は、母と宝田さんの関係もあり、子供の頃から、ほとんどの日本で上演されたミュージカルは観ていたので、こうして、何十年経っても、変わりなく、第一線で活躍されている宝田さんのお姿を拝見できただけでも幸せでした。
その上、初演より、更に進化したこの舞台の感動は未だ忘れられません。
墨田トリフォニーで、ミュージカルコンサートを企画した折、この作品の、交換手と機関士の男性デュエット曲を選曲したのですが、あるミュージカル役者さんに、「僕の方のパートが相手より少ない」と断られました。(笑)大の男が、そんな些細なことに拘っているから、日本のミュージカル界は、もう一つ飛躍しないのだわと、悲しく思った次第です。