CONVENTION HAZARD 奇行遊戯 公演情報 TRASHMASTERS「CONVENTION HAZARD 奇行遊戯」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    衝撃的な完成度
    物凄いものを観た。2時間45分休憩なしの演劇だったが、長さを感じさせないほどに引き込まれた。表現力の高さといい、照明、音楽、キャストらの演技にかける熱意が伝わってきて心地よい衝撃だった。久しぶりの衝撃!たぶん、ワタクシの観劇数の中で今年の一位を記録すると思う。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    前半、大分のとある漁港の町でのお話。まつたかを主軸にまつたかが小学校5年に学校でいじめられた事をきっかけに物語を貢いでいく。苛めはまつたかの爺ちゃんの南京大虐殺の話を起因とする。途中、ナレーションが入り、演技での表現に説明も加わり、文献、民話、経済、歴史、諸大陸の習慣をも含め、脚本家の博学さに驚かされる。勿論、ニュースや新聞での報道や本を読めば解る事柄なのだけれど、これらを取り込んだ芝居を制作するという次元がやはり普通ではない。だから2時間45分は必要不可欠なのだと、つくづく思う。

    当時のまつたかがいじめを苦に逃げるようにしてヨーロッパに留学し転々としついにオーストラリアから帰国してからを舞台化する。現在のまつたかが営むバーでの客はかつての幼馴染や同級生らや従姉妹らだ。彼らの小学生5年当時の情景を大人になった彼らの会話で描写する。

    一方でありさという女にまつたかの出生の秘密を暴露され、まつたかは妾の子で実父は名前を明かせないほどの国家の要人だったことが解り、実父の莫大な遺産が転がり込むことになる。これを資金にしてまつたかは将来の動向を予想してマグロ養殖に投資し、これが当たり、寿司チェーンも展開させる。そしてかねてからの夢だった月旅行にも行くことになる。この月旅行での命がけのエピソードでまつたかはありさへの愛を強いほど確認し結婚することになる。

    後半、セットは一変し、数十年後の情景。まつたからが立ち上げた会社が軌道に乗り、かつての同級生らがそれぞれ重要なポストに就く。社内ではまつたかの従姉妹のリコの不倫をきっかけに離婚の話やら政治の話、中国との国家の利益の問題などを露呈し、一企業としての商談の風景をも描写する。ここで残念だったのはまつたか他、男性キャストがメイクやヅラで加齢させてるのに、女性キャストは加齢が感じられない。役者には綺麗に魅せるうんぬんより、演技力を期待するほうなので、もっと工夫して欲しかった。

    経済と地位と過去の人間関係に揺さぶられながらも社長となったまつたかが一企業の利益よりも国家の利益を優先させる冷静な判断や説得の仕方は観ているこちらも圧倒され唸るばかりだった。生きた馬の目をも抜かれるような状況でまつたかの唯一の癒しはありすへの愛情だったが、このありすが異母兄弟だったと知り絶望に打ちひしがれるも、それでもありすのまつたかに対するひたむきな愛は変わらず、その愛は清く美しく潔かった。

    まつたかの手に仕掛けられた時限爆弾の装置をありさがまつたかの手首ごと切り落とすシーンは迫真の演技で、息をつめて見守ってしまった為、なんだか息苦しくなってしまったが、血の色があまりにも赤すぎる。血糊はもっとどす黒い赤だし(下北沢に血糊が売ってますのでそれを使ってください)もっと流れてもいいと思う。

    それにしても・・・重すぎるほどの物語だ。しかし観客を飽きさせることもなく、世界をまたにかけたようなテーマだった。もうこれは・・・舞台と言うより、生の映画を観ているような感覚だった。それほど箱の中は濃密な世界観に溢れていた。エンゲキの神様を観た気分。

    0

    2010/05/31 17:02

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大