満足度★★★★
戦争の傷あと
ルーマニア出身のフランス現代作家、マテイ・ヴィスニユックは、2009年度SACD(劇作家協会)ヨーロッパ賞やアヴィニヨン演劇祭のオフプログラムでプレス賞をW受賞。
本作はマテイ自身がボスニアで取材し、「ビエンナーレKAZE演劇祭2009」で初演された。「東京演劇集団風」と協力関係のもと、劇団のためにオリジナル作品も書き下ろし、来年度も新作の上演が予定されている。
戦場において敵対する民族の兵士にレイプされた女性の治療にあたる精神科医を描いた女優の2人芝居。
ボスニア紛争という日本の演劇にはあまり登場しない題材であることに加え、「戦争と民族」「戦争と性」の問題に向き合うきっかけにもなる秀作だと思った。
今後、同劇団のレパートリーとして再演されていくと思うので、ぜひ多くの人に観てほしい作品。