実演鑑賞
満足度★★★★★
#一川幸恵 #沼田星麻
#榊菜津美 #大塚由祈子
#相葉るか #相葉りこ
#深海哲哉 #徳倉マドカ
#河原翔太 #宮川飛鳥
#堤和悠樹 #星野李奈
#宮崎雄真 #宮本海
#野崎詩乃 #都倉有加(敬称略)
千秋楽。
最初に書いておきたい。
おめでとうアマヤドリ。
劇団名の改名を含め何度も転換期があり、その都度、中心となる俳優が育ち劇団として力を付けて来た。そして今、一川幸恵さんと沼田星麻さんという二本の柱が確かに立ち、彼等の新しい章が動き出したことを感じるエンディングだった。
拍手を送りたい。
これは迷える仔羊……いや、こぎつねたちの、如何に生きるかの物語。
安楽死だ尊厳死だというのは、あくまでも入り口にかけられた看板に過ぎない。
飼い猫がその時を迎える際に姿を消す心理と真理についてゆっくり考えてみようと思う。
死ぬ権利と生きる権利が同等なのか同類なのか。是が非か、善か悪かと考えようとすれば、どうしても両者の主張を偏らない工夫のもとで展開しなければならないテーマだと言える。だから、ディベートのようだと指摘されていたけれど、確かに説明的に感じる台詞も多かったように思う。しかし、それも致し方ない気はする。人物のやり取りの関わりの中で、このテーマを考えさせる展開はなかなか難しい。
キツネにとってこの世は生きにくい。人を欺がなければ生きてはいけない。もしかすれば、我々ももうみんなキツネなのかもしれない。人を騙して自分を欺いて生きているに過ぎないのかもしれない。その上で、嘘を承知で騙されて、人に優しく……キツネに優しく生きているだろうか。優しさの押し売りにはなっていないだろうか。人生の幕を下ろす時、どれだけ自分に正直になりながら人にも素直になれた時間があったかが重要なのかもしれない。
アマヤドリの代名詞とも言える群舞。
これも一川幸恵さんがタクトを振って、
美しい交響曲のような舞を披露してくれた。
劇団に育まれてきた血が、脈々と受け継がれていることを実感した。
図らずも昨日、義父の葬儀を終えた。その準備等で初日を逃し、ようやく千秋楽を観劇。そんなタイミングで今作を観る巡り合わせにも縁を感じる。
嗚呼……人生はきっと素晴らしい。