満足度★★★
リアルな視線、ニヒリズムの罠
D(ドナー)編、R(レシピエント)篇の両方を観劇しました。
どちらも苦い終幕。その時に感じたもやもやをどう整理するのか――それにはある程度の時間が必要で、今になって感想を書くことに。
生きる、ということはすなわち人と関わるということ。人と人との間には、愛も慈しみもあれば、打算や嫉妬、憎悪もある。さらに、それらが交錯し、なかなか1点に一致することがないのが、この世の常。この2本の芝居は、そのことを極めてヴィヴィッドに、スリリングに描いていると思います。また、そのことによって「考えさせる力」も持っていると言えるでしょう。
が、、私はこういうものを書き、表現できる人にこそ、「ドラマティックであること」に惑わされず、限界まで考えて考えて、考えうる限りの希望をしぼり出し、描いてほしいとも思うのです。
そこにはきっと、もっと鮮やかで深く、耐用期間の長い感動(ドラマ)があるはずです。
(むろんそれは、分かりやすい「希望」にはならないでしょうが)