「やすしくんへ」 公演情報 RISU PRODUCE「「やすしくんへ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    終盤に襲われる悲しみ
    昨年の公演の「続編」とも言えるべき作品。東京拘置所内にある死刑囚舎房に収容された南と他3人の囚人たちは死刑執行の日を待つ日々を過ごしていた。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    囚人たちはそれぞれ220号、570号、150号、210号と番号で呼ばれる。一桁の数字に「ゼロ」が付いている理由は「お前たちには未来がないからだ。お前たちにあるのは過去と今だけだ。」と古木看守長はなにかと囚人たちをいびり抜く。

    正義感溢れる小松刑務官は看守長が囚人たちに対して執拗なまでの目に余る行為に対して、何か原因があるのかを探った結果、古木は犯罪被害者の遺族だったことが解る。何の罪もない家族を殺された古木はやり場のない憎しみを囚人たちに向けていたのだった。しかし南やすしも古木と同様、犯罪被害者の遺族だったことを藤原刑務官は古木に告げる。南は肉親を殺した犯人への報復殺人を実行してここに収容された旨を説明する。

    それを知った古木は南に接していた態度を改めるも、間もなく南は死刑執行の日が確定してしまう。いよいよ、南の執行の日、仲間の囚人たちの身を引き千切られんばかりの絶望の叫びの中、南は執行室へ向かう。古木は「出来るならおれも同じことをしたかった。」と南に囁くも「よく解らないけれど先生が正解だったと思いますよ。」と今度は南が古木に伝える。そうして「最後に言いたいことはないか?」の問いに南は「570号を助けてあげてください。」と言い残して執行される。570号は再審請求をしている無罪の囚人だった。

    死刑囚達らが何故、事件を起こしてしまったのか、また無実の罪で入獄させられた570号の再審請求のゆくえ、俳句を詠む210号の様子を織り交ぜながら一方でその死刑囚達を監視する刑務官達の心理状態をも見事に描写した舞台だった。南の死刑執行の日の看守たちの苦悩に満ちた表情や囚人たちの心の叫びを思うと涙なしでは見られない舞台。目の前のキャストらが涙ぐむシーンと同時進行でこちらも号泣。感動にうち震えた秀逸な舞台だった。ああ、舞台って素敵!

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    2010/04/30 12:13

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