満足度★★★
内容的には好きなタイプだが
「太陽系を作り出す」ハナシを縦軸に「復讐」に関するいくつかのネタを絡ませ、野田秀樹チックな(いや、もう少し地口寄りか?)言葉遊びをまぶした作品、内容的には好きなタイプながら、手法に既視感があるというか、何か借り物のような、板についていない感覚があるのはちょっと残念。
たとえば早口の台詞の部分、その手法の先達であるアソコなどと比べるまでもなく歯切れよさに欠けるために聞き取りにくいとか…。
とはいえ、内容については先述のように好き。「キラー・オブ・ゴッド」が「吉良上野介」、「朝の神さん」が「浅野内匠頭」に転じての「忠臣蔵」や「四谷怪談」、「アンネの日記」に「さるかに合戦」など、タテ軸から連想ゲーム的に横にも展開して行く構造は好みだし。
また、アフタートークで主宰から「当初は『ハムレット』もネタの候補にあげながらも使えなかったと思っていたら、亡霊が装置の下段から登場するシーンがあたかも先代王の亡霊の登場のようなので「後付けで」ト書きで指定した」というエピソードが披露されて「なるほどぉ」みたいな。
で、これって後付けと言うより、使おうと思っていたので無意識的に出たのでは?
また、「太陽系を作っているその場も太陽系内にあるのでは?」という質問もあったという話からは、自宅のミニチュアを友人に見せて「音も聞こえるんだ」と超小型マイクを模型の窓に入れたら実際の窓からマイクが入ってきた、という広瀬正(だったと思う)のショートショートや夢野久作の「ドグラマグラ」を連想。