八百長デスマッチ/いきなりベッドシーン 公演情報 柿喰う客「八百長デスマッチ/いきなりベッドシーン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    再見
    初日に比べて、役者の解像度が高まっただけでなく、なにより照明の造形力が格段に増したことで、まるで密度が違う作品に。とくに「八百長デスマッチ」は、ふたりの声の重なり方がより音楽的になっていて、おなじ小屋とは思えないほど気持ちよい響きに変容していたのが、嬉しい。

    ネタバレBOX

    一方、「いきなりベッドシーン」は、
    入学したばかりで初々しく溌剌とした無邪気な女子高生が、そこから一気に転落する落差の大きさが印象的だった初日比べ、
    七味まゆ味の疲れの浮かんだ顔付きもあってか、序盤から痛々しさが炸裂。

    そして。
    悲惨なイジメられまくり生活を言葉で反転させようと、それが自分の希望だったのだと、求めていたことだったと軽やかに明るく楽しげに自己洗脳しつつも、結局はそこから逃れるために自死を選ばざるを得なかった、それでもなお生きたい生きたい生きたいと叫ぶ女子高生の無念と、
    まるで、楽日の最後の舞台を噛み締めるかのように、言葉を、あるいは自分を、舞台にしっかりと刻みこませつづけることにひたすら没頭し、どこか名残惜しそうな執着やら狂気すらをも漂わせる女優の佇まいが、
    完全に同調し、
    虚実定まらぬ不安定さをまとった哀切で鮮烈な作品になっていたように感じられた。
    もしかしたら、役者の体調的に、演技的なベストはべつの日だった可能性もあるけれど、
    この作品に自分が求めているのは、この過剰な人の思いなので大満足、そして大絶讃。 

    なにしろ、開演直後にかすかに聞こえてきた、仏壇の鐘をひとつ小さく鳴らすような音が、いまも耳に残っているのだから。

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    2010/04/19 00:33

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