満足度★★★★★
地下の風
実験公演という言葉からアバンギャルドなものを想像していたが、内容はとてもスタンダードで纏まりがよい舞台。地下の一室という空間と脚本の間で行われる実験という趣の方が強いかもしれない。(もしかしたら「神曲」との間に内容的な実験も行われているのかもしれないが、読んでないのでなんともいえず)
実験の中で特によかったのが音響。地下空間独特の反響効果を上手く取り込んだ、唄やアナログな楽器が起こす音空間が際立って美しかった。どこから聞こえてくるのかわからない、耳の奥に響きながら四方の壁に向かって吸い込まれてゆく風の音や群唱の静かな立体感は、確かにこの空間でしか味わえないだろう。
とりあえず文庫の上巻の半分も読まず放棄していた「神曲」に再びトライしようと思う。