The Heavy User 公演情報 柿喰う客「The Heavy User」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    残る
    無意識にあるものが
    すっと現れて、ずっと残る・・・。

    こう、ふんばる場所がないままに
    取り込まれるような感じに
    息を呑みました。

    ネタバレBOX

    導入部は心地よいのです。

    ちょっとユーモラスな感じすらする。

    しかし、リズムにバリエーションが生まれ
    次第に複雑になり
    たくさんのものが含まれていくうちに、
    観る側を凌駕するポイントがやってくる・・・。

    そこを超えたときに
    物語同様に観る側に混濁が生まれ
    なにかが流失していく。

    ひとつずつ、順をおって処理されていく
    そのルーティンが
    オーバーフローして
    主客が逆転する感覚。
    あいさつやシンプルな言葉から派生する
    心地よいリズム感やおもしろさや高揚に
    日本語や英語、
    さらには抑揚やニュアンス、知識などの様々な情報が
    入り込んで
    自らが手綱を引いていたはずのものが
    すっと臨界点を超えて
    自らを縛りひきづりるものに変質していく、
    その質感に有無を言わせないリアリティがあって。

    なにかに鈍感になっていくような感じや
    まわりが同じように嵌っていくような部分が
    なんとなく体験的にわかるだけにぞくっとくる。
    それが、お香の匂いが立ち込める
    お寺の本堂で演じられるから
    観る側には益々の逃げ場のなさが降りてくるのです。
    混沌の中に響く七味まゆ味のすごくシンプルな英語や
    川田希の作る距離感に
    さらなる印象を焼き付けられて。

    作り手の底力というか
    お寺の本堂に混沌を炊き上げる
    作・演の事象の切り取り方と表現力、
    さらにはそれをしなやかに具現化する役者達の力量に
    がっつりやられてしまいました。

    ほんと、感覚が共振させられるようなお芝居って
    すっとは抜けていかないのですよ。
    あのノイズ、しばらく耳から離れないかもしれません。

    この作品、フランスではどう評価されるのでしょうか。
    それも、すごく興味があります。


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    2010/03/01 14:50

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