P.G.―Peer Gynt―ペール・ギュント 公演情報 「戯れの会」「P.G.―Peer Gynt―ペール・ギュント」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    音楽でつづる波瀾万丈なペール・ギュントの旅
    タイトル通り、Peer GyntをP.G.と略したような雰囲気。
    とはいえ、4時間ぐらいあるオリジナルを2時間弱にうまくまとめたと思う。

    ネタバレBOX

    休憩を挟んだ2部構成のうち、第1部はなんとなくぼんやりした印象で、イマイチ物語に入り込めない雰囲気さえあった。

    その理由には、まず1番目に舞台自体(セット)の設定がある。

    中央で、高さも一番いい場所に、そこだけグリーンの床があり、ピアノと指揮とチェロが陣取っている。上手の高いところにはバイオリン2本、下手には管楽器がある。

    で、芝居は、ピアノたちが陣取る中央の前のフロア(演奏している人よりはかなり低い位置)の上で主に演じられる。
    ここの劇場は階段形式の座席だが、立って演技をしていても、前に座るの人たちの頭などによっては、役者のバストショットぐらいしか見えず、座ってしまうと、見えなくなってしまうことすらある。なんでそんな場所で芝居を・・と思ってしまう。

    役者の全身の芝居よりも、演奏中の全身の姿を見せる必要はないと思うので、演奏は下でもよかったのではないだろうか。それでも演奏を見せたかったのであれば、一番上の段でもよかったのでは。

    それは、単に見せ方の問題だけでなく、そうした舞台構造によって、下のフロアでの台詞や歌が、演奏フロアの下の空間などのせいで、変な反響音が起きてしまっていた。特に歌のシーンではそれがマイナスに現れてしまったように感じたのだ。

    そして、2番目には、第1部の演奏に今一歩キレがなかったことによる。素人の耳による印象ではあるのだが、特に前半のバイオリンの不安定さが気になってしまった。

    それと、3番目に、開始直後からの台詞の固さがある。きつい言い方をすれば、ただ、台詞が流れているだけという感じであった。

    この3点により、第1部にはなかなか入り込めず、結果、かなりぼんやりした印象となってしまった。

    ところが、第2部が始まり、演奏も役者も勢いが増し、面白くなってきたのだ。
    最初、当日挟まれていたパンフを見て、ペール・ギュントが3人で演じられるというのが不思議だったが、意外と違和感なく受け入れられた。1人の役者が演じ分けるには、ハードルが高かったのかもしれない。理由は不明だが、この選択は正しかったと思う。

    そして、少人数でありながら何役もこなし、舞台を支えていた役者たちの仕事ぶりには拍手を送りたい。

    さらに、ペール・ギュントを待つ女性役が歌う、歌(声)の存在感の素晴らしいこと。前半のぼんやりした印象をも吹き飛ばしてくれるほどであった(それに比べ、トルコの女の歌は、演奏のほうに消されてしまったので、逆になかったほうがよかったのでは?)。

    あまりにも自己中心的なことしかしないのに、罪も中途半端と言われてしまったペール・ギュントの波瀾万丈の旅は、優しい休息へ向かうのだが、この歌があるからこそ、ラストが成立したという感じさえした。

    舞台(セット)の設定(使い方)がきちんとしていて、かつ、第1部も第2部のようなテンションで進めていたら、この舞台はもっと素晴らしいものになっていただろうと思った。

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    2010/03/01 06:51

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