そして彼女はいなくなった 公演情報 劇団競泳水着「そして彼女はいなくなった」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    涙を呑んで★二つ、残念無念な思いのワケ
    冒頭シーン、全ての登場人物が舞台に顔を出され、わあ、こんなに人が多くて覚えられるかしらと心配したのは杞憂に終わり、実にたくさんの人物の事情とストーリーを絡ませて、描く手法がお上手だと、まずは、作者の技量に感服しました。
    役者陣も、皆さん、役のキャラクターをうまく表出される好演で、4幕になるまでは、★4つか5つかとワクワクしながら感じていました。
    しかし、最後に、全ての事実が明らかになった時点で、その★は3つ消えました。
    その理由は、このミステリー劇の最大の犯人が、誰あろう、作者自身であると気付いたからです。それも、相当な確信犯!
    人物造型、時系列でない並べ方の妙等、大変手腕がある作家でいらっしゃるようですから、ミステリーではない上野さんの作品世界をまた拝見させて頂きたいと思いました。
    永山さん、岡田さん、荒井さん、高見さん、村上さん、川村さん、たくさんの役者さんを、心に記憶致しました。
    競泳水着の、ミステリーでない次回作に期待しています。

    ネタバレBOX

    本当に、皆さんが指摘され、大賛辞を贈られているように、細部に亘って実に緻密に計算された、申し分ない作品でした。彼女の失踪以前のストーリー運びにおいては。
    でも、最後に、全ての真相がわかった時、瞬時に、作者のついた嘘が露見しました。
    変質者でも何でもない人間が、あんなことをしでかして、その後、あんな風に、のうのうと日常生活を送っているわけがありません。
    第一、真相がわかる直前の場面で、知世が書店に来た時、本屋が言うじゃないですか!「もう来るな。あれから、彼女(幸恵)はおかしくなってしまっているんだ」と。そのおかしくなった筈の幸恵が、涼子の失踪後、知世と喫茶店で会った時、何食わぬ顔で、事件について、平然と知らばっくれている場面がありましたよ。そんなことが、あり得るかしら?
    私なら、あの後、幸恵は発狂して自分自身飛び込み自殺でもするか、彼女の方が、行方を眩ますか、とにかく、あんな風に普通に生活はしていないと思います。
    本当に、役者さんも、全員好演でした。直接、事件に関与しない脇役の描き方も秀逸でした。時系列でなく、徐々に観客に事実を提示して行く、構成や、同じ場面の繰り返しも、お見事と言うしかありません。
    それ故に、だからこそ、私は、作者がついたこの嘘を見過ごすことはできないのです。
    帰宅して、レビューを書こうとしたら、皆さんのコメントに、作者ご自身が、ネタばれになりそうな語句を削除依頼されていることがわかりました。
    こんな経験は初めてなので、大変驚いたと同時に、ここまで、ご自身の作品に愛があって、冷静に、皆さんの書いたレビューの難点を指摘できる方なら、ご自身の書いた台本に、人物造型上の矛盾や破綻があることは、重々ご承知に違いないと思いました。観客に真相を最後まで気取られないために、確信犯的に、作者は、このご自作の矛盾に蓋をしてしまったとしか思えません。
    本当に、素晴らしい人物造型と役者陣の好演があって、それまで、感嘆して見守っていただけに、この作者の仕業は、私には裏切り行為のように、残念な出来事でした。
    ★二つは、役者さんに贈ります。

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    2010/02/13 19:13

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